東京ガスが「スマートエネルギーセンター」構築へ、2014年4月からサービス開始電力供給サービス

東京都港区のJR田町駅東口に隣接する再開発エリアにおいて、再生可能エネルギーを中核にしたエネルギー供給から、情報通信システムを活用したエネルギー管理・制御までを含む総合的なサービスに乗り出す。

» 2012年04月02日 20時26分 公開
[石田雅也,ITmedia]

 東京ガスが港区と連携して進めるエネルギーサービスは3つのプロジェクトで構成される。第1が再生可能エネルギーの活用で、太陽熱、地下水、風力発電などを組み合わせてエリア内の各施設に電気や熱を供給する。中でも太陽熱を集積するパネルを歩行者デッキの屋根に設置して、夏の冷房と冬の暖房に利用する点が注目される。合わせて地下水も冷暖房に活用する。

 第2の取り組みは天候などで不安定になる再生可能エネルギーを補完するために、ガスや燃料電池を使って電気と熱を作り出すコージェネレーション・システムを併用する。エリア内には大規模な病院や公共施設が建設される予定になっており、非常時には最低でも72時間にわたって熱を病院に供給できるようにする一方、電気は公共施設の空調・照明用に供給して防災対策に生かす考えだ。

 このようなエネルギーの供給側と需要側をリアルタイムに管理・制御できるように、エリア内に「スマートエネルギーセンター」を設置する(図1)。これが第3のプロジェクトである。需要側の建物にはBEMS(ビル・エネルギー管理システム)を導入して、スマートエネルギーセンターを通じて電気や熱の供給を受ける仕組みになる。

ALT 図1 再開発エリアにおけるエネルギーネットワークの全体像。出典:東京ガス

 東京ガスは新たに「スマートエネルギーコントロール&マネジメントシステム」(SEMS)と呼ぶ情報通信システムを開発して、BEMSからのエネルギー需要情報、スマートエネルギーセンターからの供給情報、さらに気象データなど外部からの情報を収集・分析できるようにする計画だ。

 SEMSによって建物の空調設備の設定温度を変更したり、エネルギー供給設備の温度や圧力、運転状態を変更したりすることが可能になり、エリア内のエネルギー需給バランスを最適に調整する機能を実現する。東京ガスは2年後の2014年4月から順次サービスを開始する予定である。

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