東京・新宿に“スマートマンション”を建設、エネルギー管理システムを全面導入エネルギー管理

三井不動産レジデンシャルは東京都新宿区に開発中の大規模マンションに、住戸別の電力使用量を管理・制御できるHEMS(ホーム・エネルギー管理システム)を導入する。太陽光発電や大型蓄電池、EV(電気自動車)用の充電器も組み合わせる。

» 2012年04月03日 16時39分 公開
[石田雅也,ITmedia]

 電力の有効利用を前面に押し出した“スマートマンション”の建設が、いよいよ本格的に始まる。首都圏を中心に住宅分譲事業を展開する三井不動産レジデンシャルが業界の先陣を切って、2014年1月から入居が始まる27階建ての大規模マンションに、HEMS(ホーム・エネルギー管理システム)を中核とした最先端の電力活用システムを装備する。

 注目すべきは、マンションの共用部に設置する大型蓄電池(蓄電容量:約90kWh)とHEMSの連携によって、夏の午後など電力需要がピークになる時間帯の電力使用量を自動的に制御する「デマンドレスポンス」を実現する点だ(図1)。電力会社との間では、電気料金が一般家庭向けの「低圧」よりも安い「高圧」の契約をマンション全体で結ぶ。デマンドレスポンスによる削減分と合わせて、各住戸の電気料金の単価を最大で5%程度下げられるという。

ALT 図1 “スマートマンション”に導入される電力供給システム。マンション共用部のエネルギーを管理するMEMSと各住宅のエネルギーを管理するHEMSにより、発電・蓄電システムと組み合わせた自律性の高い仕組みを実現する。出典:三井不動産レジデンシャル

 マンション共用部のエネルギーを管理する「MEMS(マンション・エネルギー管理システム)」が、太陽光発電システム(発電量:約10kWh)、大型蓄電池、EV(電気自動車)用の充電器、非常用発電機、といった発電・蓄電機器を監視・制御する。停電・災害時でも、MEMSを使って非常用エレベータや給排水ポンプを動かすことができる。非常用エレベータを優先して動かした場合には、約17時間の運転が可能になる見込みだ。

 このMEMSが各住戸のHEMSとも連携して、電力需要のピーク時に住戸内のエアコンの設定温度を自動的に制御することも可能にする。住戸側ではHEMSの情報をパソコンで見ることができる(図2)。部屋別・機器別の電力使用量や前月との比較データを見ながら、こまめに節電を実施することができるようになる。デマンドレスポンスによる単価の低減と合わせれば、毎月の電気料金を10%以上引き下げることも難しくないだろう。

ALT 図2 住戸のパソコンに表示されるエネルギー利用状況の画面イメージ。出典:三井不動産レジデンシャル

 三井不動産レジデンシャルは東京都新宿区に建設中の「パークタワー西新宿エムズポート」に一連のシステムを導入して、今後の市場拡大が期待される“スマートマンション”の分野で先行する考えだ。地上27階のマンションで、住戸数は179戸あり、2014年1月中に入居を開始する予定である。MEMSとHEMSは関連機器を含めて東芝が提供し、デマンドレスポンス関連のシステムはNTTファシリティーズが提供する。

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