鹿児島に国内最大の太陽光発電所、京セラなど3社が7月着工へ電力供給サービス

太陽電池メーカー大手の京セラが大規模な発電事業に乗り出す。再生可能エネルギーの全量買取制度が7月から開始されることをにらみ、太陽光発電の普及拡大に向けて、みずから発電所の建設・運営に取り組む計画だ。

» 2012年04月10日 18時19分 公開
[石田雅也,ITmedia]

 京セラなど3社が太陽光発電所(メガソーラー)を建設するのは、鹿児島湾岸の桜島に対面する埋立地で、127万平方メートル(東京ドーム27個分)の敷地に29万枚の太陽電池モジュールを設置する(図1)。発電能力は70MW(メガワット)になる見込みで、日本国内で稼働中あるいは計画中の太陽光発電所の中では最大になる。その全量を九州電力に販売する考えだ。総投資額は250億円にのぼる。

ALT 図1 2012年7月に着工予定の太陽光発電所「鹿児島七ツ島メガソーラー」の完成予想図。出典:京セラ

 70MWの発電能力により、年間で7万9000MWh(メガワット時)の電力を作り出すことができるという。一般家庭の電力消費量は年間で3.6MWh程度とされており、この太陽光発電所によって2万以上の家庭に電力を供給できることになる。

 現時点で国内のメガソーラーで最大の規模を誇るのは、東京電力が2011年12月に川崎市で稼働を開始した「扇島太陽光発電所」で、13MWの発電能力がある。計画中のものでは、三井化学などが愛知県田原市で2013年9月の完成を予定している50MWのメガソーラーが最大だ。

ALT 図2 メガソーラーに設置する太陽電池モジュール。出典:京セラ

 京セラがIHI、みずほコーポレート銀行と共同で鹿児島市に建設するメガソーラーは、東京電力扇島発電所の5倍以上の発電量になる。この発電所に設置する太陽電池モジュールは、京セラが産業用に販売する製品の中でも最高出力のものである。1つのモジュールで242Wの電力を作り出す(図2)。29万枚のモジュールを合わせた発電量は、2011年に出荷された産業用太陽電池の発電量の4割弱に相当するという。京セラにとっては、国内の太陽電池市場で実績を拡大する狙いもありそうだ。

 発電所の完成時期については、「これから決まる買取価格などを見たうえで着工を決定するため、現時点では未定」(京セラ広報室)としている。とはいえ、京セラが3つの工場を有する鹿児島県におけるプロジェクトでもあり、実施することは確実だろう。50MWの発電能力を予定している三井化学などのメガソーラーが着工から完成までに15カ月を見込んでいることから、京セラなどの70MWのメガソーラーも同程度と考えられ、2013年末までには完成するとみられる。

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