創電・節電・蓄電を3本柱に、足利市がスマートシティ構想へ前進スマートシティ

栃木県の足利市が意欲的なスマートシティ構想を発表した。約1億円を投じて公共施設52か所にエネルギー管理システムを導入するほか、太陽光発電システムや蓄電池も設置して総合的な電力インフラを構築する計画だ。

» 2012年04月17日 15時12分 公開
[石田雅也,ITmedia]

 「足利市民総発電所構想」と名付けられたスマートシティ計画は3つのプロジェクトで構成されている。1つは太陽光発電システムの導入による「創電」で、市内の中学校などに太陽光発電システムを設置するほか、一般住宅に設置する場合の補助金制度を4月1日から開始して導入を促進している。

 2つ目のプロジェクトは節電対策としての「スマートグリッド通信インタフェース導入事業」で、総額1億500万円をかけて、市内の52か所にBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)やHEMS(家庭向けエネルギー管理システム)を導入する(図1)。この事業に関しては、足利市は総務省からの補助金を受ける第1号に選ばれ、事業費全体の3分の1にあたる3500万円を補助金でカバーできることになった。2013年3月までにBEMSとHEMSの導入を完了するとみられる。

ALT 図1 足利市が推進する「スマートグリッド通信インタフェース導入事業」。出典:足利市役所

 さらに3つ目のプロジェクトとして蓄電も推進する計画だ。まず市内の生涯学習センターに通信機能付きの蓄電池を設置して、太陽光発電システムと組み合わせて電力使用のピークシフトに取り組む。市役所では電気自動車を蓄電池として使う実験も進める。

 全体を取りまとめるための総合的なエネルギー管理システムとして「SmartPowerプラットフォーム」を構築して、各施設のBEMSやHEMSとネットワークで連携をとり、地域全体の電力使用状況に応じて節電指示を出せるようなインフラづくりを目指す。そのために関連機器の間の通信インタフェースを標準仕様で統一する方針である。

 足利市は公共施設の節電による電気料金の削減分を、家庭がHEMSなどを導入する際の補助金にあてる考えで、計画的に市内全域に新しい電力活用インフラを拡大していく。この構想が全国の地方自治体のモデルケースになる可能性がある。

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