中電を通して供給した余剰電力を九電管内における節電とみなす、「節電みなし」を利用電力供給サービス

全国的に電力供給量が不足すると予想される今夏に向けて、各電力会社は電力を融通しあう体制を作っている。東ソーは、中国電力管内に自社が保有する自家発電装置の余剰電力を供給し、九州電力管内における同社の拠点で節電したとみなす運用を始める。

» 2012年06月28日 16時47分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 東ソーは自社が保有する自家発電設備の余剰電力を中国電力に供給し、その電力を九州電力管内に送電する。九州電力に送電した電力量を、九州電力管内の同社の事業所の節電量とみなすことで、中国電力、九州電力と合意した。

 この運用は、経済産業省が2011年11月に公表した「節電要請時における自家発の活用拡大策について」という文書の中で「節電みなし」として提案している方式を利用したものだ(図1)。

Power Line 図1 節電みなし方式の運用方法の例。上は同一電力会社の管理エリア内で済ませる場合。下は異なる電力会社に送電する場合

 東ソーは中国電力への電力供給を2012年7月1日から2013年3月31日まで続ける。供給量は最大で5万kW。このうち、1万500kWを九州電力への送電分、つまり九州電力管内における同社事業所の節電分とみなす。九州電力管内における節電みなし運用期間は、2012年7月2日から9月7日。この間の平日昼間の電力を節約したとみなす。

 6月22日に政府が発表した、今夏の各電力管内における節電目標値を見ると、中国電力管内は3%以上とさほど厳しくない。一方、九州電力管内は10%以上と全国でも最も厳しい節電を強いられている。余裕のある中国電力関内に保有する自家発電設備を利用して、九州電力管内の厳しい節電要求を満たす狙いがあるとみられる。

 東ソーのほかにも、日本製紙グループもこの制度を利用することを明らかにしている。日本製紙グループの場合は、日本製紙八代工場(熊本県八代市:九州電力管内)の自家発電装置で発電した余剰分を関西電力に供給することで、関西電力管内の同社の拠点で節電したと見なす契約を結んでいる。

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