日本初、未利用材のチップ化から発電まで自動処理する設備自然エネルギー

木質バイオマス発電では、木をチップ状に加工したものを購入して燃料とする例が少なくない。無料で手に入るはずの燃料にお金をかけているわけだ。出光興産や土佐電気鉄道は高知県森林組合連合会と協力して、燃料のチップを作る工程まで持つ木質バイオマス発電施設を建設する。

» 2013年01月25日 09時00分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 発電施設の建設予定地は、高知県森林組合連合会が保有する「木材団地(高知県高知市仁井田新築)」。太平洋から高知新港に入り込み、浦戸湾に出たところの右岸にある(図1)。県内で伐採加工した木材は、ここから船で出て行く。

図1 南側の細い入り口が高知新港。そこを通り抜けると広い湾に入っていく。ここが浦戸湾だ。木材団地は浦戸湾右岸の、赤い楕円で囲んだあたりにある。出典:高知県

 発電設備は木材団地の敷地内に建設する。最大出力はおよそ5MWで、年間発電量はおよそ3万6000MWhとなる見込み。発電設備が稼働を始めたら、高知県森林組合連合会が、間伐材や山林に落ちている枝など(林地残材)を木材団地に集める。燃料を間伐材や林地残材とするため、未利用材を使ったバイオマス発電という扱いになる。2012年度の買取価格を当てはめれば、1kWh当たり33.6円で20年間にわたって売電できることになる。

 発電設備には、燃料となる木を破砕し、乾燥させる設備も設置する。未利用材を集めて木材団地に持ち込んだら、発電設備に投入するだけで、破砕、乾燥工程を経て、チップとなった燃料を燃焼させて発電するところまで自動で処理できるようになる。年間で7万〜8万トンの未利用材を燃料として消費できる見込みだ。

 発電設備の建設と運営は、出光興産、土佐電気鉄道、高知県森林組合連合会の出資で2013年1月に設立した「土佐グリーンパワー株式会社」が担当する。出資比率は出光興産が50%で、土佐電気鉄道と高知県森林組合連合会が25%ずつだ。

 今後は固定価格買取制度を利用するために必要な経済産業省による設備認定と、電力会社(四国電力)との連係協議を進める。この手続は2012年度中に済ませたいとしている。ただし、2013年度になっても木質バイオマス発電の買取価格は変わらないという見方が強いことから、手続きが2013年に伸びても止むを得ないと考えているようだ。

 手続きが終了次第着工し、2015年4月に発電設備の稼働を始めることを目指している。

 発電した電力は全量出光興産の関連会社であり、特定規模電気事業者(新電力)の出光グリーンパワーに売電する。出光グリーンパワーは土佐電気鉄道などに電力を供給し、その電力の一部で路面電車を走らせる計画だ。

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