「玄関ドアの鍵を掛けましたか」、トヨタが節電サービスを一歩進めるスマートハウス

HEMSの目的は複数ある。まずは家庭内の消費電力の見える化だ。太陽光発電システムや電気自動車(EV)の充電の見える化も必要だ。次の段階が「家電の制御」である。

» 2013年04月15日 11時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 トヨタ自動車とトヨタメディアサービスは、3種類の異なる機能を統合した節電サービス「H2V eneli(エイチツーブイ・エネリ)」を開発した。家庭の消費電力を見える化するサービスと、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)への充電サービス(H2V)がベースとなり、家電を遠隔制御するサービスを追加導入できる形だ。

 家電の見える化には個人所有のスマートフォンやタブレット、PCを利用する。分電盤に小型の専用コントローラーを接続し、分電盤から得た電流値情報をEMS(エネルギー管理システム)サービスを提供するトヨタスマートセンターで集計、手元の端末で閲覧する仕組みだ。家屋全体の消費電力はもちろん、分電盤の系統(部屋、家電)ごとの消費電力が分かる。太陽光発電システムを導入する場合は、発電量と売電量も表示可能だ(図1)。

 EV、PHVへの充電サービスは2つある。1つは深夜電力契約を活用して充電用の電力料金を抑えるタイマーサービス、もう1つは充電時の電力を監視して、家庭全体の電力が契約電力を超えそうになった場合、充電を一時的に自動停止、再開するサービスだ。

図1 H2V eneliのシステム構成。専用モニター機器は利用しない。出典:トヨタ自動車

 家電を遠隔制御するためには、専用アダプターを家電1台当たり、1台ずつ追加する。専用アダプターはHA端子*1)を備えた家電のオンオフ制御と状態モニターのために利用する。最大10台の家電を遠隔操作できる。

*1) HA端子とは、日本電機工業会(JEMA)規格で定められたホームオートメーション用端子。過半数のエアコンが備えている。

図2 スマホの表示画面例。出典:トヨタ自動車

 例えば電子錠であれば、スマートフォンの画面から施錠状態の確認ができる他、施錠操作自体も可能だ(図2)。図2は施錠直前の状態を示している。さらに解錠された場合に通知を受け取ることもできる。唯一できないのが、スマートフォンからの解錠操作だ。

 エアコンや床暖房はオンオフ操作が可能であり、浴槽の湯張りはオン操作ができる。ただし、温度などはあらかじめ設定しておく必要がある。

 H2V eneliは、トヨタホームが発表した新製品「SINCÉ Smart stage(シンセ・スマートステージ)」(図3)と合わせて、2013年4月27日から販売を始める。同製品は太陽光発電システムと蓄電池を備え、V2Hにも対応する。トヨタホームはH2V eneliを採用することで全棟全製品をスマートハウス化していく。

図3 H2V eneli対応の住宅。出典:トヨタホーム

 トヨタ自動車とトヨタメディアサービスは、EVやPHVの充電サポートツール「H2V Manager」を2011年11月に開発した後、2012年12月には電力消費を見える化する「H2V-a」を発表している。今回のH2V eneliは、これら2つのサービスの機能を合わせ、さらに家電の遠隔制御サービスを追加した形だ。今後は、トヨタホーム以外への販売拡大を目指す他、車載のカーナビシステムから家電の遠隔制御サービスが利用できるよう拡張していく。

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