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» 2013年08月02日 15時00分 UPDATE

キーワード解説:電力不足の時に需要を抑える「デマンドレスポンス」

電力システムの新しい機能として欧米で導入が進む「デマンドレスポンス」が、日本でも実用段階に入ってきた。夏の昼間などに電力不足の可能性が生じた時に、利用者が協力して需要(デマンド)を抑制する仕組みだ。システムを使って実行機能を自動化する取り組みも始まっている。

[石田雅也,スマートジャパン]

 「デマンドレスポンス」は日本語で「需要応答」と訳されることが多いが、これでは意味が通じないだろう。具体的には、電力会社などからの要請に応じて、利用者が電力の使用量を削減することを言う。電力業界では電力の使用量を需要(デマンド)と呼び、利用者を需要家と呼ぶ習慣がある。

 デマンドレスポンスを要請するケースは、電力不足が想定される場合である。夏の昼間に電力の使用量が急増する時が典型だ。それ以外に複数の発電所が同時にトラブルを起こして運転を停止したような事態も考えられる。

 実際に電力会社が電力の不足を想定する状況になったら、利用者に対して使用量を削減するように協力を募る。その要請に応じた利用者には何日の何時から何時までが需要を抑制する対象であるかが伝えられる。通常はメールで連絡する方法が多い。

 需要の抑制に協力した利用者に対しては、電気料金の割引などインセンティブを提供するのが一般的だ。電力会社と利用者(需要家)のあいだで直接やりとりするケースのほかに、アグリゲータが仲介役になって複数の利用者を対象に実施する方法もある(図1)。

demand_response_sj.jpg 図1 デマンドレスポンスを実現する代表的な仕組み。出典:電力システム改革専門委員会

 すでに国内でもインセンティブを提供する取り組みが始まっている。個々の利用者の電力使用量を時間帯別に計測する必要があるため、デマンドレスポンスにはスマートメーターの導入が前提になる。

 BEMS(ビル向けエネルギー管理システム)を導入している企業や自治体であれば、電力会社やアグリゲータからのメッセージをBEMSの管理画面に表示することもできる。管理者はBEMSの機能を使って、空調機器や照明機器を制御して効率よく需要を抑えることが可能になる。

 さらに電力会社やアグリゲータのシステムと利用者側のBEMSが連携して、自動的にデマンドレスポンスを実行することも近い将来に実現する見通しだ。「自動デマンドレスポンス(ADR)」と呼ぶ仕組みで、システムを連携するための国際標準規格が策定されている。日本版の標準規格も作られていて、早稲田大学を中心に実証実験の計画が進んでいる。

 日本全国でデマンドレスポンスの仕組みが有効に機能するようになれば、もはや計画停電の必要はなくなるだろう。今後の電力システムでは極めて重要な機能になる。

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