太陽電池の種類の差はいかほどか、面積当たりの発電量を比較自然エネルギー

グリーン電源は自社が設置した太陽光発電システムの発電状況を公開した。同社は4種類の太陽電池モジュールを比較しているため、公称出力ごと、設置面積ごとに発電量の実績を比較できる。

» 2013年08月13日 16時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 太陽光発電など再生可能エネルギーによる発電を進めるグリーン電源は、実験施設に設置した太陽電池モジュールの発電状況を公開した。モジュールごとの発電量の差を比較できる。

 公開したのは2013年4月に石川県白山市へ設置した出力400kWの「みかわ太陽光発電所」(7749m2)の発電状況。同発電所は、国内メーカー2社と海外メーカー2社の太陽電池モジュール合計2000枚を同一地点に設置している。

 国内メーカーの多結晶シリコン太陽電池モジュール(出力100kW)と国内メーカーのCIS薄膜太陽電池モジュール(100kW)、中国メーカーの多結晶シリコン太陽電池モジュール(100kW)、カナダのメーカーの単結晶シリコン太陽電池モジュールである(図1)。

図1 採用した4種類の太陽電池モジュールの外観。出典:グリーン電源

出力当たりに優れるCIS薄膜

 グリーン電源が公開した情報では、2つの軸から太陽電池モジュールを比較できる。太陽電池の(公称)出力当たりの発電量(kWh)と設置面積当たりの発電量だ。

 2013年7月1日から8月13日までの実績を図2に示す。図2を見ると、出力100kW当たりの発電量ではCIS薄膜(2万2401kWh)が最も優れている。単結晶シリコン(1万9741kWh)と比較すると、13.5%も発電量が多いからだ。多結晶シリコンと比較しても8.3〜9.4%多い。

図2 同一出力の太陽電池モジュールごとの発電量の差。出典:グリーン電源

 2013年8月だけを抜き出して見ると、差がより顕著に表れてくる(図3)。CIS薄膜は単結晶シリコンより14.4%多く、多結晶シリコンと比較して9.2〜9.8%発電量が増えている。CIS薄膜は一般に結晶シリコンと比較して温度特性に優れている。太陽電池は高温になると最大出力が減ってしまうが、CIS薄膜は減り方が少ない。2013年8月の発電量の差が、2013年7〜8月の発電量の差よりも大きくなるという実験結果は、このようなCIS薄膜の性質を反映している。

図3 太陽電池モジュールごとの発電量。2013年8月分。出典:グリーン電源

 なお、1日単位で発電量を見ると、CIS薄膜(図4の国内メーカー2)と他の太陽電池モジュールとの発電量の差は正午に近づくほど大きくなることが分かる。

図4 モジュールごとの1日の発電量。出典:グリーン電源

面積当たりでは単結晶が優れる

 他方、設置面積当たりでは単結晶シリコンの強さが目立つ。グリーン電源が示した値は敷地面積600m2当たりの電力量である。

 設置面積当たりでは変換効率の差がそのまま発電量の差として現れやすい。図1を見ると、単結晶シリコン(2万1941kWh)は、CIS薄膜よりも19.9%発電量が多く、多結晶シリコンと比較しても5.7〜6.8%多いことが分かる。


 太陽光発電システムを導入する際には、設置する地域に応じた年間日照時間の予測値をまず用意する。その後、モジュール出力、モジュール変換効率、モジュールの実出力の見通し、設置可能面積とモジュールの面積など、複数の数値を用いた発電量のシミューションが必要なことが分かる。これらの条件から得られた年間予想発電量を初期コストと比較して、導入すべきモジュールの種類が決まる。

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