化石燃料への依存度が9割を突破、節電は効いているのだが自然エネルギー(1/2 ページ)

経済産業省資源エネルギー庁は2012年度のエネルギー需給実績(速報値)を公表した。それによれば、エネルギー消費量自体は節電などによって抑えられているものの、エネルギー源のバランスが強く化石燃料に偏っていく姿が明らかになった。

» 2013年10月03日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 経済産業省資源エネルギー庁は2013年10月、2012年度(2012年4月〜2013年3月)の「エネルギー需給実績」の速報値を発表した。節電の効果はあったものの、化石燃料への依存度が9割を突破した。9割を突破したのは第二次オイルショック直前の1978年度以降、34年ぶりである。

最終エネルギー消費は減少

 2012年度のエネルギー需給実績には大きく3つの特徴がある。第1の特徴は最終エネルギー消費(1万4347PJ、ペタジュール)が2011年度比で1.2%減少していることだ。電力は前年度比2%減、輸送用などに用いる石油も同1.7%減である(図1)*1)。資源エネルギー庁は、2011年度と比較して2012年度が冷夏暖冬だったことが原因だと指摘している。

*1) 図1以降にある「再未エネ」とは「再生可能・未活用エネルギー」を略した表現。太陽光や風力、バイオマスなどの自然エネルギーと、廃棄物発電や黒液、廃材、廃タイヤ、産業蒸気回収などの未活用エネルギーを意味する。

図1 エネルギー源別に見た2011年度比の消費の増減。出典:資源エネルギー庁

 東日本大震災以前の2010年度と比較するとより傾向がはっきりする(図2)。電力は8.0%減と大きく下がり、石油も4.1%減となっている。この2つが全体の量の減少にも大きく効いていることが見て取れる。総需要では4.2%減となった。

図2 エネルギー源別に見た2010年度比の消費の増減。出典:資源エネルギー庁

 資源エネルギー庁は最終エネルギー消費を4つの部門ごとに集計している。産業部門、家庭部門、業務部門、運輸部門だ。4部門の中で最もエネルギー消費が大きいのは産業部門であり、最も少ないのが家庭部門だ。1990年度比の削減率では産業部門が最も大きく11.2%減、業務部門と家庭部門は逆に増加が著しかった。それぞれ36.9%増と23.2%増である(図3)。なお、資源エネルギー庁がいう業務部門とは、企業の管理部門などの事務所・ビル、ホテルや百貨店、サービス業などの第三次産業を指す。

図3 部門別最終エネルギー消費の推移。出典:資源エネルギー庁
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