「ヒツジ」にお任せ、整地せずに太陽光で16.8MWを実現自然エネルギー(1/2 ページ)

日本毛織(ニッケ)が兵庫県内に立ち上げたメガソーラーには他の発電所とは異なる特徴がある。除草のためにヒツジを放牧したことが1つ、もう1つは本来の土地の形を残したまま太陽電池モジュールを設置したことだ。

» 2013年10月10日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 兵庫県稲美町と発電所の位置

 羊毛紡績大手の日本毛織(ニッケ)は、ヒツジを利用したメガソーラーを立ち上げた(図1)。「(東京電力が山梨県の用地を使って運営している)米倉山太陽光発電所では敷地内の除草にヤギの力を借りていることを知り、当社の事業と関係が深いヒツジを使うことを決めた」(同社)。3頭のヒツジを六甲山牧場から譲り受け、土地に慣らした後、メガソーラーの敷地に放牧した(図2)。

 太陽光発電では太陽電池モジュールの一部に掛かる影を避けなければならない。例えば雑草による影だ。地表をコンクリートなどで覆う、防草シートを使う、除草剤を散布する、人手を使って草を刈るなどさまざまな対策がある中、同社はヒツジの力を借りることを選んだ。

図2 メガソーラーで働くヒツジ。出典:日本毛織

 同社が運営する「ニッケまちなか発電所明石土山」(兵庫県稲美町六分一)は、グループ企業が所有、運営していたニッケゴルフ倶楽部土山コースの跡地を利用したメガソーラーだ。

 この発電所にはヒツジ以外に、もう1つ特徴がある。「敷地が明石市の市街化調整区域にかかっており、開発行為にあたるため整地ができなかった」(同社)。通常のメガソーラーは太陽の角度や日影の影響を計算して土地を最も有効に利用できるよう整地後、太陽電池モジュールを配置する。しかし、整地できなければ土地の起伏をそのまま利用する他に手がない。「設置時に高さを調整できる架台を製造する3社を選び、現地で試験した結果、コストや施工性を考慮してうち1社の製品を選択した」(同社)。

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