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» 2013年11月11日 13時00分 UPDATE

法制度・規制:どうなるエネルギー政策、ベストミックスを決める4つの動き (1/2)

原子力の比率を何パーセントに設定するのか。1年前に国全体で議論を巻き起こした問題に再び注目が集まっている。主要な政策を盛り込んだ「エネルギー基本計画」が今年末に改定される予定だが、数値目標の設定は2016年まで持ち越しになる。3年後には具体的な将来像を描きやすくなるからだ。

[石田雅也,スマートジャパン]

 安倍政権が発足して以来、国のエネルギー政策の根幹になる電源構成の最適な比率、いわゆるエネルギーのベストミックスについては「3年以内に決定する」ことが繰り返し伝えられてきた。その方針に変化はなく、12月中に改定する「エネルギー基本計画」に具体的な数値目標は盛り込まない見通しだ。

 なぜ3年後の2016年になると、エネルギーのベストミックスを決めることができるのか。まさに日本のエネルギーの方向性を大きく変える動きが2016年に向けて進んでいるからだ。主なものを挙げると4つある。

原子力と再エネで2020年に50%以上が目標だった

 第1に原子力発電所の再稼働の状況がある。現在までに北海道・東京・関西・四国・九州の5つの電力会社が適合性審査を申請して、2014年内の再稼働を計画している。残る4社も追随する見通しで、2015年になれば全国各地の稼働状況を予想しやすくなる。

 ベストミックスを検討するうえで、ベース電源の役割を担う原子力の比率を決めることは極めて重要だ。この点では、2012年の国民的議論を進めるにあたって作成された素案が参考になる。「原発ゼロ」を2020年か2030年までに実現する案のほか、2030年の原子力の比率を15%〜35%にする合計6種類のシナリオがある(図1)。

energymix2020_2_sj.jpg 図1 原子力発電の比率による選択肢(2012年6月時点の素案)。出典:資源エネルギー庁

 国民の多くが原発ゼロを主張した結果、当時の野田政権が「2030年代に原子力を全廃する」戦略を決定したことは記憶に新しい。しかし安倍政権は根本的に戦略を見直す方針を打ち出し、3年間の状況を見て判断することを一貫して主張してきた。

 ちなみに2010年に改定した現行のエネルギー基本計画では、CO2を排出しない「ゼロエミッション」の電源比率を高くする目標を掲げた。原子力と再生可能エネルギーを合わせて、2010年当時の34%から2020年に50%以上、2030年には約70%まで引き上げることを宣言している。

 その後に発生した福島第一原子力発電所の事故によって、この目標は達成が難しくなり、変更せざるを得ない状況にある。おそらく今回の改定では、目標値を含まない表現に書き換えることになるだろう。

天然ガスの価格が下がれば火力を増やせる

 原子力に代わってベース電源の役割を果たすのは火力しかない。今のところ燃料費の高さとCO2排出量の多さが問題だが、状況は大きく変わりつつある。ベストミックスを左右する第2の動きだ。

 2017年には米国からシェールガスの輸入が始まり、ガスの調達コストは下がっていく見通しだ。それに伴って長期的な輸入量や価格の予測も立てやすくなる。一方でCO2を回収する技術の開発が進み、発電設備に実装する取り組みも始まっている。

 ガス(LNG)火力の比率は原子力と反比例する。1年前の政府の素案では、原子力をゼロにするためにはガス火力を大幅に増やすことを想定していた(図2)。かりに2020年に原子力をゼロにするならば、ガス火力を36%まで増やす必要がある。その点でガスの価格動向が重要になってくるわけだ。

energymix2020_1_sj.jpg 図2 2020年の電源構成のイメージ(2012年6月時点の素案)。出典:資源エネルギー庁

 火力発電所を新設するためには、通常5年以上の期間を要する。2016年にベストミックスを決定すれば、その目標に沿って2020年代の前半に新しいガス火力発電所を稼働させることが可能になる。ちょうど2020年代の前半には、国産の天然ガスとして期待の大きいメタンハイドレートの商業生産が見込まれている。

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