世界のエネルギー需給の安定化を図るIEA(国際エネルギー機関)が毎年まとめる電力・エネルギー関連の生産統計を見ると、日本と同様に世界全体でも火力発電が急増している。水力発電も年々増える一方で、原子力発電は2005〜2006年をピークに減少傾向に転じた。
日本を含む28カ国が加盟するOECD/IEA(経済協力開発機構/国際エネルギー機関)は、世界全体のエネルギー生産・消費量を年間で集計している。中国やインド、ロシアや中東諸国など非加盟の主要国も加えた統計データで、2013年10月に公表した報告書「Key World Energy Statistics 2013」には過去40年間の電源別・地域別の発電量のほか、石油・石炭・天然ガスの生産量がまとめられている(IEAのウェブサイト)。
この報告書を見ると、東日本大震災後の日本の電力・エネルギー事情が決して特殊な状況にあるわけではなく、世界全体の傾向に合った形に変容したことがわかる。電源別では全世界で火力発電の伸びが著しく、過去10年間で1.5倍近い規模に拡大している(図1)。リーマンショックの影響を受けて2009年に減少した時期を除けば、40年間ほぼ右肩上がりで増えていて、特に最近の10年間は伸びが加速している状態だ。
国別では中国の伸びが圧倒的で、特に石炭火力では2011年に全世界の40%を占めるまでに拡大した(図2、図3)。一方で石油火力は世界全体で規模が縮小しているものの、最大の発電国は日本である。いまや産油国だけが石油火力に依存している状況にもかかわらず、日本の電力会社はコストの高い石油火力を減らすことができずにいる。燃料費の増加で経営が圧迫されるのも当然だ。
日本の電力会社が再稼働を急ぐ原子力発電だが、すでに全世界で頭打ちの状態に入っている(図4)。最大の発電国である米国で原子力発電所の閉鎖が相次ぎ、今後の期待は新興国しかない。日本は発電設備の規模ではフランスに次いで第3位にある(図5)。将来に向けて再稼働・廃炉のいずれの道を選んでも、使用済み核燃料を廃棄処理する重荷は大きく残る。
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