既築住宅向け太陽光に力なく、東京の落ち込みが著しい法制度・規制

太陽光発電普及拡大センター(J-PEC)が公表した補助金の申し込み受付件数によれば、住宅用の太陽光発電システムの伸びが、既築住宅を中心に落ち込んでいる。

» 2013年11月27日 14時30分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 太陽光発電協会(JPEA)の一部門である太陽光発電普及拡大センター(J-PEC)は、経済産業省の補助金(住宅用太陽光発電補助金)の申し込み受付件数を公開した。この補助金は住宅向けの設置件数を最も正確に把握できる数値だと考えられている(関連記事)。J-PECが公開したのは、2013年7〜9月の四半期分の受付件数と、2013年4〜9月の設置容量である。

 2013年7月から9月までの四半期の受付件数は合計6万6533件であり、これは前四半期の3万9207万件と比較して大幅に増加している。だが、この数値は楽観視できない。毎年4〜6月期は申し込み件数が大幅に下がるからだ。

 今回の四半期を前年同四半期(7万8228件)と比較すると、1万1695件の減少に当たり、比率では85%にとどまる。1年前と比べて市場の伸びが鈍化しているということが分かる。

 図1は、47都道府県ごとに受付件数(下のY軸、青)と前年同四半期を100とした比率(上のY軸、朱色)を示したものだ。新潟県を除く全ての都道府県で朱色の棒グラフが100以下になっている。

図1 補助金の受付件数の変化と実数値。出典:J-PECの集計に基づいて編集部が作成

 J-PECは新築と既築の受付件数を個別に公表している。新築(2万7681件)は6%成長している。足を引っ張っているのは既築(3万8852件)だ。1万3370件(26%)も減少しており、全ての都道府県で減っている。既築の受付件数が前年同四半期に対して6割以下になっているのは、東京都(1592件の減少)、島根県(268件の減少)、沖縄県(425件の減少)。東京は前期と比較して38%に落ちている。これは都道府県のうち、比率で見ても最大の落ち込みだ*2)。このような状況は合計件数を示した図1にも現れている。

*2) なお、新築を見ると、東京都は前年同四半期と比較して11%成長しており、これは全国平均よりも高い。既築の落ち込みがより目立つ。

設置容量と単価には異常なし

 設置容量(kW)は新築の平均が4.19kW(6万6015件)、既築の平均が4.79kW(10万6625件)、合計が4.56kWだった

 新築の設置容量が多かったのは沖縄県(5.22kW)、青森県、島根県、秋田県、長崎県の順。少なかったのは神奈川県(3.67kW)、京都府、兵庫県、東京都、大阪府だった。同じく既築では、沖縄県(6.08kW)が最も多く、鹿児島県、北海道、宮崎県、徳島県が続く。神奈川県(4.23kW)が最も少なく、大阪府、京都府、東京都、千葉県が続いた。合計では沖縄県、宮崎県、鹿児島県が上位3都道府県、神奈川県、東京都、京都府が下位3都道府県となった。

 1kW当たりの平均システム単価は、新築が39万9000円、既築が44万1000円、合計が42万5000円である。

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