3つの工夫で発電量を増やす太陽電池、折板屋根に向く蓄電・発電機器

パナソニックは屋根当たりの発電量を増やすことが可能なHIT太陽電池モジュールなど、2製品を発表した。発電量を増やす工夫は3つあり、屋根材の寸法とのマッチング、耐風圧性能の向上、高い変換効率である。

» 2014年02月17日 21時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 パナソニックは折板屋根を用いた工場や倉庫、商業施設への設置に適した太陽電池モジュール製品「大型HITモジュール HIT290A」を発表した(図1)。屋根に設置できるモジュール(パネル)の容量を6〜8割増やすことができるという。

図1 大型HITモジュール HIT290Aの設置イメージ 出典:パナソニック

 設置容量を増やす工夫は3つある。折板屋根のピッチと適合するモジュールの寸法、モジュールの耐風圧設計、モジュールの変換効率である。

 折板屋根は鋼板を折り曲げて製造する屋根材。断面の形状はおおまかに「www」となっている。折り曲げた山や谷の部分はとがっておらず、いったん地面と水平になるよう折ってある。山と山の間隔をピッチと呼ぶ。

 折板屋根の上にモジュールを設置する場合、モジュールの寸法とピッチの長さが合わないことがある。そのような場合は複数の山にまたがる「ベースレール」という部材を折板屋根にまず設置し、その後、ベースレール上にモジュールを配置していく。

 パナソニックの新製品はピッチが250mmと300mm、500mmの場合、ベースレールを使わずに設置可能である。特に250mmと500mmに適する。ベースレールを使わなくてもモジュール間隔を詰めて配置できることから、屋根面積を効率良く利用できることになる(図2)。ベースレールを省くことが軽量化につながるために、設置が可能な屋根の範囲が広がる。施工期間の短縮や架台コスト削減にも役立つ。

図2 モジュールの寸法とピッチの関係 出典:パナソニック

 新製品は6点を固定することで、風の影響が大きい屋根端部にも設置が可能だ。4200Pa(パスカル)までの風の圧力に耐える。耐雪荷重は2400Pa。

 新製品の変換効率は18.8%と高いため、モジュール1枚当たりの出力は290Wである。同社によれば、約10kWの太陽光発電システムを構成する場合、同社の出力255Wの従来型モジュール(多結晶シリコン)を利用すると、40枚必要となり、設置に必要な面積は66.0m2。新製品を採用すると36枚に減り、面積は55.4m2で済むという(図3)。なお、新製品の寸法は1463mm×1053mmで、厚さは46mmだ。

図3 設置容量が増える理由 出典:パナソニック

耐荷重性能を高めた製品もある

図4 高強度HITモジュール HIT120Aの裏面設計 出典:パナソニック

 パナソニックはHIT290Aと合わせて、耐荷重性能(強度)を高めた「高強度HITモジュール HIT120A」(出力120W)の出荷も開始する。高層ビルの屋上などの高所に設置する用途を考慮し、風圧、積雪とも6000Paまでの圧力に耐えることが特徴だ。太さ(呼び径)が8mmと強いM8ボルトで固定できる(図4)。6000Paという耐荷重性能は他社製品と比較しても最も高いものの1つだという。

 耐荷重性能を高めると同時にモジュールの落下防止策も盛り込んだ。落下防止ワイヤーを通す落下防止穴を設けた。

 HIT290A、HIT120Aのいずれの製品も、モジュール出力保証期間を20年とした。公称最大出力に対して、10年で81%未満、または20年で72%未満となった場合に保証する。

 2014年4月に受注を開始する。HIT290Aの価格は15万7000円(税別)、HIT120Aの価格は10万5000円(税別)。

【訂正】 記事の掲載当初、第7段落で「新製品を採用すると36枚に減り、面積は46.2m2で済む」としておりましたが、これは「……55.4m2で済む」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。上記記事はすでに訂正済みです。

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