中国と日本が世界の半数を占めた――2013年の太陽光市場自然エネルギー(1/2 ページ)

太陽光発電システムに関する世界最大の業界団体European Photovoltaic Industry Association(EPIA)は2014年3月に、2013年の太陽光発電市場(新規導入量)について、集計結果を発表した。中国、日本、米国の3カ国の伸びが著しく、中国は今後数年にわたって首位を保つという。

» 2014年03月12日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 2013年は太陽光発電において記録的な年となった。全世界の新規導入量は37GWに達し、これは前年比35%の成長に当たる。累積導入量は136.7GWに達した。

 以上の数値は、太陽光発電システムに関する世界最大の業界団体European Photovoltaic Industry Association(EPIA)が2014年3月に公開したもの。

 EPIAが強調した点は3つある。第1に従来の予測通り、全世界の新規導入量に占める欧州のシェアが下がり続けていることだ(図1)。2011年は欧州内の新規導入量が最大値に達し、世界シェアは70%を超えた。イタリアへの導入量が急増したことが大きい。その後、シェアは減り続け、2013年には28%にまで低下してしまった。

図1 全世界の太陽光発電の導入量と比率。単位はGW。EPIAの資料に基づき作成

 EPIAは定期的に将来の太陽光発電市場の予測を公開しており、予測の正確さには定評がある。EPIAの予測は2種類に分かれている。1つが予定通り固定価格買取制度(FIT)の買取価格が下がり続け、それ以外の政策支援がない場合(旧態依然シナリオ)。もう1つが、現在の大市場でFITの買取価格が下がったとしても新興諸国で次々とFITが立ち上がるというもの(政策主導シナリオ)だ。

 2013年の欧州は旧態依然シナリオの予測値(9.71GW)に近い。EPIAは欧州の国ごとのデータも一部公開している(図2)*1)。これによると、状況はもう少し複雑だ。図2に挙げた国のうち、減少幅が著しいドイツとイタリア*2)以外の諸国の合計値は約6GWを維持し続けている。これがEPIAが強調する第2の点だ。

 図2にあるフランスやベルギー、デンマークは新規導入量が2012年と比較して急速に減少した。それぞれ、フランスは1.1GWから0.613GW、ベルギーは0.6GWから0.215GW、デンマークは0.3GWから0.2GWだ。政策支援のレベルが下がったことによるものだ。

 それにもかかわらず、ドイツとイタリア以外の欧州の新規導入量が2011年から2013年まで約6GWを維持しているという。図2のオレンジ色で囲った部分だ。つまり、欧州内でも新興国が育っていることになる。

 EPIAは未開拓だが、今後、市場が立ち上がる国として、ハンガリーとポーランド、トルコを挙げた。フランスとスペインの可能性も大きいという。

*1) イタリアと英国については新規導入量の値が未確定だ。イタリアは1.1GW〜1.4GW、英国は1GW〜1.2GWだとしている。
*2) イタリアの新規導入量は2012年に世界シェア3位だったが、2013年には新規導入量が70%も減少した。ドイツは同じく世界シェア1位(7.6GW)だったが、57%減少した。

図2 欧州の国別新規導入量。単位はGW。EPIAの資料に基づき作成
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