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» 2014年04月10日 13時00分 UPDATE

再生可能エネルギーの未来予測(6):バイオマス発電: 使わずに捨てる資源から、800万世帯分の電力 (1/2)

生物が日々作り出す資源の大半は、使われないまま廃棄されている。森林に残る木材から食品廃棄物まで、燃料に転換すれば800万世帯分の電力に生まれ変わる。生物由来の資源を活用するバイオマス発電は大都市と地方の両方で拡大を続け、火力発電を補完する安定した電力源の役割を担っていく。

[石田雅也,スマートジャパン]

第5回:「地熱発電:世界3位の資源量は4000万世帯分、6割が開発可能」

 電力や熱に転換できるバイオマス資源は多種多様だ。利用可能な量が多い代表的なバイオマス資源には、木材、農作物、家畜の排せつ物、食品廃棄物、下水処理で生じる汚泥、の5種類がある(図1)。

nedo_energy6_7_sj.jpg 図1 バイオマス資源のエネルギー利用形態。出典:NEDO

 どの物質も燃料に変えることができて、発電のほかに暖房や自動車などにも利用できる。石油や石炭といった化石燃料と違い、生物によって再生が可能なエネルギーだ。CO2(二酸化炭素)を吸収する植物が元になっていることから、地球温暖化対策の1つとして世界各国で導入量が拡大している。

 日本国内に限定しても、バイオマス資源は膨大な量がある。環境省の試算によると、未利用のバイオマス資源をすべて電力に転換できると、年間の発電量は281億kWhになる(図2)。これは一般家庭の電力使用量に換算して800万世帯分に相当する。従来は捨てられていた資源から、大量のエネルギーを作り出すことができるわけだ。

nedo_energy6_1_sj.jpg 図2 バイオマス資源のエネルギー利用可能量。出典:環境省

発電コストは地熱や火力の2〜3倍

 バイオマス発電の導入量は過去10年間に着実に伸びてきた(図3)。特に2012年7月に固定価格買取制度が始まってからは、太陽光に次いで導入量が増えている。買取制度の開始から1年半のあいだに運転を開始した設備の規模は12万kWに達した。これだけでも年間の発電量は20万世帯分を超える。このペースで増えていけば、800万世帯分の電力まで60年後に到達する。

nedo_energy1_1_sj.jpg 図3 再生可能エネルギーによる発電量(水力を含まず)。出典:NEDO(資源エネルギー庁の資料をもとに作成)

 バイオマス発電は再生可能エネルギーの中では設備利用率(発電能力に対する年間の発電量)が80%と最も高い。火力や地熱発電と同様に、年間を通して安定した電力を供給できるためだ。一方で大きな課題は燃料費にある。

 1kWhの電力を作るコストは太陽光の次に高くて20〜30円程度かかる(図4)。火力や地熱発電と比べると2〜3倍の水準だ。現在は買取価格が高く設定されていて、発電事業者にとっては不利にならない。ただし高い買取価格が将来も続くことは考えにくく、長期的に導入量を拡大するためには燃料費の削減が不可欠になる。

nedo_energy1_4_sj.jpg 図4 再生可能エネルギーとLNG火力の発電コスト比較。出典:NEDO(コスト等検証委員会の資料をもとに作成)
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