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» 2014年04月21日 13時00分 UPDATE

蓄電・発電機器:大型蓄電池の国際標準化が進む、太陽光や風力を後押し

太陽光発電や風力発電で大きな課題になっているのが、天候による出力変動の影響である。巨大な蓄電池を使って電力を充電・放電すれば出力を安定させることができる。世界各国で大型蓄電池の需要が高まり、国際標準化の動きが進んできた。蓄電池で重要な安全性の標準規格を日本が主導する。

[石田雅也,スマートジャパン]

 大規模なメガソーラーや風力発電所になると、出力は数10MW(メガワット)に達する。わずかな出力の変動でもMWレベルになり、それに対応する蓄電池には巨大な容量が必要だ。代表的なものに「レドックスフロー電池」と「NAS(ナトリウム硫黄)電池」の2つがある。このうちレドックスフロー電池の国際標準化が日本の提案をもとにIEC(国際電気標準会議)で始まった。

 蓄電池は化学反応によって充電と放電を繰り返すために、発生する熱によって発火事故を起こす危険性がある。レドックスフロー電池は発火性の材料を使わずに大容量にできる点が特徴だ(図1)。日本がIECに提案したのはレドックスフロー電池の安全性に関する標準案で、この分野では住友電気工業の技術が進んでいる。

redox1_sj.jpg 図1 レドックスフロー電池の外観。出典:経済産業省、住友電気工業

 IECの中にレドックスフロー電池の国際標準化を審議するワーキンググループが新たに設置されて、まもなく標準規格の検討作業に入る予定だ。このワーキンググループでは日本が提案した安全性の標準規格に加えて、中国が提案した性能に関する標準規格、スペインが提案した用語・定義に関する標準規格の3つを審議する。

 国内でレドックスフロー電池を導入した事例はまだ少ないが、北海道電力が2014年度中に変電所に設置して、太陽光発電や風力発電の出力変動を抑制する実証試験を開始する計画がある(図2)。設置するレドックスフロー電池の出力は15MWで、蓄電できる容量は6万kWhにのぼる。標準的な家庭が1日に使用する電力量に換算して6000世帯分に相当する。

redox4_sj.jpg 図2 レドックスフロー電池を使って太陽光・風力発電の出力変動を抑制する仕組み。出典:北海道電力、住友電気工業

 北海道電力と住友電気工業は2015〜2017年度の3年間に実証試験を実施して、レドックスフロー電池で出力変動を抑える効果を検証する。この実証試験が終了する2017年度末までには、IECで国際標準化を完了している可能性が大きく、他の電力会社や発電事業者も導入しやすくなる。

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