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» 2014年05月19日 07時00分 UPDATE

電力供給サービス:「FUKUSHIMA」に世界最高水準の石炭ガス化発電所、オリンピックイヤーに営業運転へ (1/2)

東京電力が福島県の復興と雇用創出に向けて、最新鋭の石炭火力発電所を2カ所に建設するプロジェクトを開始した。石炭をガス化してから発電する世界でも最高水準の技術を採用して、合計100万kWの電力を供給する計画だ。東京オリンピックに合わせて2020年の夏までに営業運転を目指す。

[石田雅也,スマートジャパン]
toden_igcc1_sj.jpg 図1 福島県にある東京電力の発電所(新設・改修対象は太字)。出典:東京電力

 東京電力が最新鋭の発電設備を建設する場所は、福島県の太平洋沿岸にある2カ所の火力発電所の構内を予定している。1カ所は双葉郡にある「広野火力発電所」、もう1カ所は東北電力と共同で運営するいわき市の「勿来(なこそ)発電所」だ(図1)。福島県の復興と雇用創出に向けて推進する発電所の新設・改修計画の中核になるプロジェクトである。

 計画では広野と勿来に50万kW級の発電設備を建設して、少なくとも1カ所は2020年夏の東京オリンピックに間に合わせる。そのために2016年の着工に向けて、火力発電所の建設に必要な環境影響評価の手続きを5月15日に開始した。このプロジェクトを通じて、世界が注目する石炭火力の最先端技術を「FUKUSHIMA」の地でアピールする。

「IGCC」で石炭火力の発電効率を48%に

 新設する発電設備には「IGCC(Integrated coal Gasification Combined Cycle):石炭ガス化複合発電」と呼ぶ方式を採用する。IGCCは最新のガス火力発電所に使われているコンバインドサイクル方式を石炭でも利用できるようにしたもので、1回の燃焼でガスタービンと蒸気タービンによる2回の発電が可能になる(図2)。

 通常の方式よりも発電量が増えて、同じ電力を作るために必要な燃料が少なくて済み、CO2や有害物質の排出量も削減できる。IGCCは燃料の安い石炭をガス化してからコンバインドサイクル方式で発電する次世代の技術である。燃料費とCO2排出量の両方を削減できる「クリーンコール技術」として海外でも注目を集めている。

toden_igcc2_sj.jpg 図2 IGCC(石炭ガス化複合発電)の設備(画像をクリックすると拡大)。出典:東京電力

 日本では2013年4月に商用で最初のIGCCが勿来発電所の構内で運転を開始している(図3)。7カ月後の2013年11月にはIGCCの連続運転記録で世界最長の3287時間を更新して話題になった。発電能力は25万kWで、発電効率は42%である。通常の石炭火力の発電効率は38〜40%程度であり、それを少し上回る。

toden_igcc_nakoso1_sj.jpg 図3 勿来発電所の全景。出典:東京電力

 火力発電は燃焼温度を引き上げて発電効率を向上させることができる。IGCCは1500度の状態で発電効率が48%まで上昇する(図4)。東京電力が勿来と広野に新設するIGCCの詳細は明らかになっていないが、おそらく最高レベルの1500度を適用して、48%程度の発電効率に達する見込みだ。最新のガス火力と同等のレベルになり、燃料費は半分以下になる。

toden_igcc3_sj.jpg 図4 石炭火力発電の効率を向上させる技術の推移。出典:東京電力
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