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» 2014年05月30日 17時30分 UPDATE

LED照明:4mmと薄い有機EL照明が光る、ゼロエネルギーのオフィスを実現

オフィスの照明を考える際、省エネ性能ばかりが強調されている。オフィスの消費エネルギーのうち、照明が約2割を占めるからだ。だが、オフィスで働くのはヒトだ。快適性と省エネ性のバランスを取ることができなければ、無理が生じる。大成建設と三菱重工業、岡村製作所の3社はゼロエネルギーを実現する未来のオフィスにふさわしい照明を開発、1年以上をかけて実証実験を進める。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 大成建設と三菱重工業、岡村製作所の3社は2014年5月、ゼロエネルギーを目指したオフィスにふさわしい「有機EL照明パネルを使用したオフィス向けデスクライト」を開発したと発表した。

 デスクライトは極めて一般的な製品であり、広く使われている。それにもかかわらず新しいライトを作り上げた理由はこうだ――未来のオフィスでは消費エネルギーを引き下げつつ、デスクワークをより快適にしなければならない。

 このような2つの目的を実現するための照明として、現在はLED照明の導入が進んでいる。「LED照明は必要だ。ただし、オフィス全体を考えると、横採光の自然光とLED照明などを用いた天井照明、間接照明、デスクライトを組み合わせた形が適している。省エネ効果だけではない。室内空間全体の明るさ感を保ちつつ、まぶしさ感を減らす必要がある」(大成建設)。

 「デスクライトが必要な理由は、手元に不自然な影ができないこと、つまり『手暗がり』をなくすことだ。LEDのような点光源だけでは光にムラが生じやすく、まぶしく、快適感が損なわれ、疲労感が増してしまう。そこで、LEDとは違い、真の面光源である有機EL照明パネルを用いる」(三菱重工業)。

まずオフィス環境ありき

 今回の開発品は、大成建設が2014年6月に完成を予定している未来のオフィス「ZEB実証棟」(横浜市戸塚区、図1)に導入する(関連記事*1)。「詳細な台数や配置などは完成時に公開する。ライトの導入規模は数十台に及ぶ」(大成建設)。

yh20140530OLED_ZEB_385px.jpg 図1 ZEB実証棟の完成予想図。延床面積は1277.32m2。壁面には有機薄膜太陽電池を大量に設置する 出典:大成建設

 開発に当たってはZEB実証棟内のオフィスにふさわしい仕様を大成建設が立案。「これまでの有機EL照明は『モニュメント』(一品モノ)として導入されてきた。照度も不足気味だ。三菱重工業に依頼し、照明環境全体のバランスを確保しつつ、デスクライトに必要な照度を決めた」(大成建設)。

 三菱重工業のグループ会社であるLumiotec(ルミオテック)が有機ELパネル(素子)を製造した。世界最高水準のパネルであると主張し、製造技術にはインライン式量産成膜装置を用いたという。

 灯具としてのデスクライトはオフィス機器などの開発にノウハウを持つ岡村製作所が開発した。実仕様条件を満足するスリムなデザインを心掛けたという。デスク設置タイプ以外に、パーテーション設置タイプもある。

*1) ZEB実証棟は政府が2020年に新築公共建築物での実現を目指しているネットゼロエネルギービル(ZEB)を先取りする実証ビル。都市型オフィスをZEB化するために必要なさまざまな省エネルギー技術や再生可能エネルギー利用、エネルギー制御技術を導入したスマートビルである。ハード・ソフトの開発にとどまらず、ビル内で働くヒトの働きやすい環境を実証することが特徴。

どのようなライトなのか

 「デスクライトは机に固定するクランプ部分と長さ450mmのアーム、アームにヒンジを介して付くランプ部分からなる(図2)。ランプ部分の寸法は354.5mm×90mmの長方形であり、4mmと薄い」(岡村製作所)。

 「ライトの照度は、50cm直下で500lx(ルクス)、平均演色性評価数(Ra)は90と高い」(三菱重工業)。500lxは読書などに向く照度だ。一般的なLEDランプではRaが75〜85という製品が多く、今回のRaの値であれば、光が当たったモノの色味がより自然に見えるだろう。

yh20140530OLED_light_590px.jpg 図2 「有機EL照明パネルを使用したオフィス向けデスクライト」 出典:大成建設

 今回の開発ではZEB実証棟の要求仕様に合わせため、有機EL照明パネル本来の仕様とは異なる条件で用いる。「定格仕様からオーバードライブして使う形だ。本来の仕様ではパネルの輝度は4000cd/m2。効率は45lm/W。輝度3000cd/m2の時の寿命が4万時間だ。実証実験ではこれを8800cd/m2と明るく発光させている。そのため寿命と効率はいくぶん低くなるだろう。寿命は蛍光灯と同程度ではないかと考えている」(三菱重工業)。

 有機EL照明の開発では、明るさ、寿命、演色性が追求されており、今回は明るさと演色性、そして省エネルギー性能に重点が置かれている形だ。寿命を含めた性能評価を、今後1年以上をかけた実証で確かめていく。

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