最終処分場が20MWの太陽光に変身、CIS太陽電池が生きる自然エネルギー

宇部興産と昭和シェル石油は山口県宇部市で出力21.29MWのメガソーラー「ユーエスパワー発電所」の営業運転が始まったと発表した。CIS薄膜太陽電池モジュールを全面的に採用したメガソーラーである。総事業費は約50億円、年間の売電収入は9〜10億円。

» 2014年07月10日 09時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 山口県宇部市と発電所の位置

 宇部興産と昭和シェル石油は、2014年7月、直流出力21.29MWのメガソーラー「ユーエスパワー発電所」(山口県宇部市藤曲)の営業運転を開始したと発表した(図1、図2)。固定価格買取制度(FIT)を利用した売電を目的とするメガソーラーだ。両社が折半出資したユーエスパワーが運営する。

 「当社の土地約30万m2をユーエスパワーに貸与し、同社が総事業費約50億円を投じて立ち上げ、事業運営会社となって九州電力に全量を売電する。売電収入は20年間を平均すると9〜10億円である」(宇部興産)。

 ユーエスパワー発電所の想定年間発電量は2501万kWhと大きく、これは一般家庭6900世帯の消費電力量と等しいという。二酸化炭素削減量は年間8300トン、森林面積に換算すると2300ha相当であり、敷地面積の77倍に相当する。

図2 ユーエスパワー発電所の外観 出典:宇部興産

 宇部興産は土地の貸与の他、運転監視、設備の保守・管理を担当し、昭和シェル石油は太陽電池モジュールの供給と太陽光発電にかかわる事業ノウハウを提供した。「今回の用地は2004年度まで当社グループの最終処分場として利用していたものの、その後、遊休地となっていた経緯がある」(宇部興産)*1)

 「当社の100%子会社であるソーラーフロンティアが製造したCIS薄膜太陽電池モジュールを約13万3000枚使用した。ソーラーフロンティアが市販している製品と同じものだ。当社は日本初の商業用メガソーラーである『新潟雪国型メガソーラー発電所』などを立ち上げており、運営ノウハウを蓄えている。今回の発電所にもこのノウハウを生かした」(昭和シェル石油)。なお、パワーコンディショナーには富士電機の製品を用いている。

*1) 今回は宇部興産が参加した最初のメガソーラーである。今後の大規模太陽光発電所の計画については、宇部興産が適切な遊休地を保有していないため、未定であるとした。

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