「冷蔵庫の中身」を外出先から確認、省エネだけではない家スマートホーム(1/2 ページ)

三井ホームは2014年7月、柏の葉スマートシティの街開きと合わせて、実証実験住宅をリニューアルした。家電やHEMSを制御するユーザーインタフェースの改良が中心である。これまでの成果と合わせて内容を紹介する。

» 2014年07月10日 14時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]
図1 千葉県柏市と住宅の位置

 三井ホームは2014年7月、木造の実証実験住宅「次世代スマートグリーンズ 柏の葉実証実験住宅MIDEAS(ミディアス)」を改善し、今後の実験の内容を公開した。ナチュラルユーザーインタフェース「Kinect」の応用や、タッチインタフェースの導入、IT家電との連携などをうたう。

 三井不動産グループが手掛けるエネルギー問題や環境問題に対応した新都市「柏の葉スマートシティ」(千葉県柏市)*1)の一角にMIDEASがある(図1、図2)。高い断熱性能を備え、各種発電機器や家電制御が可能なHEMSなどを盛り込んでいる。スマートハウスの開発やリフォーム事業への展開を考えた実証実験住宅だ*2)

*1) 秋葉原駅とつくば駅をつなぐ全長58.3kmのつくばエクスプレス、そのほぼ中央に位置する「柏の葉キャンパス駅」を中心とした約12万7000m2の地域の開発を第1ステージとしている。2014年7月7日に街開きを行ったところだ。2014年から2030年までを第2ステージとして、第1ステージの周辺地域、約300万m2を人口2万6000人の街へと作り上げていく計画だ。
*2) 敷地面積305.03m2、建築面積106.61m2、延床面積168.50m2。2階建で枠組壁構法を採用。

図2 次世代スマートグリーンズ 柏の葉実証実験住宅MIDEAS(ミディアス) 出典:三井ホーム

エネルギーだけでない住宅

 実証実験の目的は当初から3つあった。第1は独自のパッシブ環境技術を検証することだ。家自体の断熱性能や空調性能を高める。第2はエネルギー・スマート技術の最適化。さまざまな機器を利用して電力マネジメントを改善する。第3が柏の葉スマートシティとの連携だ。スマートシティには地域全体を対象としたエリアエネルギーマネジメントシステム(AEMS)があり、これと戸建住宅内部のHEMS(MIDEAS HEMS)を連携させる。

 第1の目的のため、断熱性・気密性を高めるとともに、壁を二重化、二重壁(ダブルスキン)の間を自然な空気の流路とした(パッシブ換気)。これに自動開閉式の窓(スマートウィンドウ)と高効率熱交換換気システム、空調通風自動制御システムを組み合わせた(図3)。

図3 二重壁と空気の流路 出典:三井ホーム

 第2の目的のために導入した機器は多岐に渡る。電気自動車を配置し、車から家庭へ給電できるV2H(Vehicle to Home)機能を持たせた他、駐車場床を利用したワイヤレス充電が可能な仕組みを作った(関連記事)。

 電力源は系統電源(商用電源)以外に、3つある(図4)。住宅業界初の電気エネルギーの自給自足を目指したものだ。1つが屋根一体型太陽光発電システム。高性能な単結晶シリコン太陽電池モジュールを10.26kW設置した。アシスト電源として軽油で動く出力7kWのディーゼル発電機もある*3)。この他、2階の主寝室の窓ガラスにごく小容量の太陽光発電フィルムを取り付けた。

*3) 「震災や大規模な停電に備えた設備であるため、実証試験を開始してから約2年間、1度も利用しないで済ませることができた」(三井ホーム)。

図4 MIDEASが備える自給自足電源 出典:三井ホーム

 蓄電池はNECが開発した定置型(容量5.53kW)を2台置いた。「実験開始前の想定では蓄電池の性能を十分に発揮しつつ、(停電などに備えるために)常に電池容量を100%持たせることを考え、交互運転制御機能を付けた」(三井ホーム)。住宅内では給湯用のエネルギーの割合が高い。そこで太陽熱ソーラーシステムも導入した。電気給湯器と組み合わせ、420Lの湯を貯める。

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