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» 2014年07月14日 14時30分 UPDATE

エネルギー管理:「あべのハルカス」内の3万カ所を管理し、11社の装置をつなぐEMS

OKIとOKIウインテックは、超高層ビル「あべのハルカス」に納入したエネルギー管理システムの概要を発表した。ビル管理者だけではなく、テナントからの管理も一部受け付ける仕組みだ。

[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 あべのハルカス 出典:近畿日本鉄道

 あべのハルカス(大阪市阿倍野区)は、国内で唯一300mに到達した超高層ビルだ(図1)。ビルオーナーである近畿日本鉄道はあべのハルカスのコンセプトとして、自然エネルギーの光と風をビル全体で生かすとしている。環境負荷が低い省エネビルを作り上げることが目的だ。

 このため、太陽光発電や風力発電、落水発電、ビル内で生成したバイオガスによる発電などの再生可能エネルギーはもちろん、LED照明(関連記事)や空調、熱利用など他のビルにも有用な技術を多数組み合わせた。このうち、エネルギー管理システム(A-EMS)と熱源設備の最適化制御システム(OH Saver、Enewatcher)について、2回に分けて紹介する。

管理対象が3万点に及ぶ

 阿倍野エリアエネルギーマネジメントシステム「A-EMS」を納入したのはOKIグループで電気工事や電気通信工事を担うOKIウインテックだ。A-EMSが国内最大級のシステムであることをうたう。「空調や照明のオン/オフなどの管理の1単位を管理ポイントと呼ぶ。今回のシステムではこの管理ポイントが約3万点に及ぶ」(OKI)。

 あべのハルカスにはオフィスだけではなく、百貨店やホテル、美術館などさまざまなテナントが入居しており、複雑なエネルギー管理が必要である。A-EMSの特徴は、このようなビル全体を受け持つエネルギー管理者が情報を独占するのではなく、各フロアのテナント側でも省エネを実行しやすい仕組みを備えていることだ。

 A-EMSの概要を図2に示す。A-EMSは図左上のサーバ上で動作しており、図左中央から下に向かって伸びているさまざまな装置群(サブシステム)を制御している。エネルギー管理者はBEMSとしてA-EMSを使う。快適さを保ちつつ、ビル全体の消費エネルギー量を引き下げる運用に生かす。ピーク時のデマンド抑制はもちろん、収集・蓄積データを解析して統計的な省エネを推進できるという。

 図右上にある黄色い部分はビルのテナント(ユーザー)側のPCから操作できる「あべのハルカステナント支援システム」だ。会議室の予約など一般的なビルサービスを受けることができる他、A-EMSの一部の機能を利用できる。消費電力などのエネルギー見える化や空調運転の予約、照明の調光設定などをテナントごとに設定可能だ。

図2 A-EMSの構成 出典:OKI

11社の設備をつないだ

 A-EMSは、省エネルギーソリューションである「SEEMS」のうち、ビル管理システムの部分を抜き出し、あべのハルカス向けにカスタマイズしたものだ*1)

*1) A-EMSの全体設計と開発をOKIウインテックが受け持ち、現地のエンジニアリングを協和テクノロジィズが担当した。「A-EMSは全体を新規に開発したシステムではないが、管理ポイントの設定など工数は多く、開発には約2年半を要した」(OKI)。

 あべのハルカスで管理対象となるのは、11の企業が開発した多種多様な機器だ。そこで、エネルギー管理システムにはマルチベンダー対応が強く求められた。

 A-EMSは通信プロトコルとして「BACnet」を利用しており、設備側の「ICONT」と接続して動作する*2)。BACnetとICONTを利用して、リアルタイムに管理対象となるデータを収集し、一元管理できる仕組みを作り上げた。ハードウェア側も一般的なPCやサーバ、ネットワーク機器などを利用している。

*2) BACnet(Building Automation and Control Networking protocol)は、ビル制御ネットワーク向けの通信プロトコル。共通インタフェースを設けており、空調や電気、照明などに各設備メーカー固有の仕様が含まれていても接続・監視できる。ANSI/ISOなどで標準規格となっている。
 ICONT(Intelligence Controller)は、BACnet通信とローカルデバイスの通信を仲立ちするインテリジェントコントローラーの一般的な名称。BACnet通信を利用したメーカー非依存のビル管理システムにおいて、各企業が提供するさまざまな通信方式、動作の違いを吸収し、上位システムが複雑化することを防ぐ。

【訂正】 記事の掲載当初、「協和テクノロジィズ」の社名表記が誤っておりました。お詫びして訂正いたします。上記記事はすでに訂正済みです。(2014年7月15日)

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