東北の大地を空から探る、地熱資源はどこ?自然エネルギー(1/2 ページ)

石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は2014年8月から東北地方の八幡平(はちまんたい)で「地熱資源ポテンシャル調査」を開始する。対象地域は秋田県と岩手県にまたがる1050km2もの山岳地帯。全域をわずか2カ月で調査するという。素早く正確な調査ができる理由は?

» 2014年08月15日 15時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

 日本は世界第3位の地熱資源国だ。だが、地熱資源は地下に「埋まって」おり、正確な場所や規模が分からないと開発できない。

 現在主流の地熱発電技術では、火山やマグマから直接熱を取ることはない。発電で使う蒸気のもとは、地中に染み込んだ雨水だ。雨水がマグマだまりで加熱を受けて熱水となり、地中を移動して「地熱貯留層」とよぶ地下の構造にたまる。地熱貯留層の上には水を通さない地層(帽岩)が帽子のように被さっており、熱水を逃さない。この熱水を地上から掘り下げた井戸で取り出す。

 このため、地熱探査ではいかに素早く正確に地熱貯留層を見つけ出せるかが最初の関門になる。国内には地熱資源が存在することが分かっていながら、調査が進んでいない地域が多い。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が狙うのはそのような地域の調査だ。

「八幡平」をヘリで調査

 2014年8月には東北地方の八幡平(はちまんたい)で「地熱資源ポテンシャル調査」を開始*1)。対象地域は秋田県と岩手県にまたがる1050km2もの山岳地帯。全域をわずか2カ月で調査するという(図1)。調査を実行するのはオランダFugroの日本法人であるフグロジャパン。

*1) 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は全国の地熱資源の調査を1985年から開始。八幡平は後ほど紹介する霧島やくじゅうと並んで有望であることが分かっていた。開発もある程度進んでおり、今回の調査地域内にも、松川地熱発電所(出力2万3500kW)や葛根田地熱発電所(出力8万kW)、大沼地熱発電所(9500kW)、澄川地熱発電所(5万kW)が立地している。

図1 調査地域の位置と範囲。地図の左下は田沢湖 出典:JOGMEC

 山地の地下を素早く調べる秘密は、東北地方初のヘリコプターによる探査だ。重力と電気抵抗、磁場の変化を上空から一気に調べる(図2)。測定するたびに停止する必要がなく、精度も高いという。

図2 空中電磁探査の測定風景 出典:JOGMEC
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