ニュース
» 2014年09月05日 07時00分 UPDATE

自然エネルギー:これぞ破竹の中国企業、太陽光の世界市場を独占か

調査会社である米NPD Solarbuzzは、全世界の太陽電池モジュールの出荷量に関する調査結果を発表した。2014年第1四半期(1月〜3月)に世界シェア1位だったシャープが、同第2四半期では半減。中国企業は着実に伸びており、世界の上位20社を独占する勢いがあるという。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 太陽光発電に関する調査会社である米NPD Solarbuzzは、中国の太陽電池モジュールメーカーに注目した調査結果を発表した。

 同社が中国企業に注目する理由の1つは、世界のモジュールメーカー上位20社を独占する勢いがあることだ。中国企業の出荷量は順調に伸びている。2014年第1四半期(2014年1月〜3月)の出荷量は5.2GW。これが同第2四半期には26%成長した。同社の調査によれば、第2四半期のモジュール出荷量の71%が上位20社によるものだという。

 中国企業は第2四半期の出荷量上位6社を独占した。そのうち4社は第2四半期に四半期ごとの出荷量で過去最高を記録した模様だという。4社とはTrina SolarとCanadian Solar、Jinko Solar、JA Solarだ。残る2社はYingli Green EnergyとRenesolaである。

 同社はこのような中国企業の状況を日本のモジュールメーカーと比較して見せた。日本市場は第1四半期に好調であったが、第2四半期には急速に冷え込んだ(関連記事*1)。第1四半期のシャープの出荷量は730MW以上。これは世界第1位だ。ところが第2四半期は50%以上も出荷量が減ってしまったという。

*1) NPD Solarbuzzは暦年で四半期を表現している一方、関連記事で取り上げた太陽光発電協会の調査は会計年度で四半期を数えているため、四半期の数字が1つずれている。国内メーカーの出荷先はほぼ日本市場に閉じており、日本市場が低迷すると「自動的に」数量が減少する構造下にある。

中国市場が最大、米・日・欧へ均等に

 NPD Solarbuzzは中国企業が世界のどの地域に太陽電池モジュールを出荷しているのか調査している(図1)。まず、成長が著しい中国市場に約3割(関連記事)が集まっている。中国市場ではYingli Green EnergyとTrina Solar、Jinko Solarが強く、その後ろをHareon Solar、Suntech、JA Solarが追っているという。NPD Solarbuzzは、中国市場が2014年下半期に10GWを超える規模まで成長すると予測した。

yh20140905Solarbuzz_graph_434px.jpg 図1 中国企業は世界のどの地域に太陽電池モジュールを出荷しているのか(2014年第2四半期)。出典:NPD Solarbuzz

 興味深いのは図1で出荷先として米国、日本、欧州がほぼ2割ずつを占めており、特定の市場に依存していないことだ。これには理由がある。大きなきっかけとなったのは2011年10月の出来事だ(関連記事)。米国内の太陽電池メーカー7社が中国製の太陽光発電システムが不当廉売(ダンピング)状態にあり、米国の雇用を脅かしているとして米商務省と国際貿易委員会(ITC)に提訴。2012年11月には反ダンピング・反補助金関税が決定。税率は31〜250%という高額なものだ。

 中国企業は関税の壁を迂回する方法を見つけ出した。NPD SolarbuzzはRenesolaの戦略を例として取り上げている。Renesolaはモジュール生産量の約半分をOEMメーカーに外部委託しているという。米国市場だけではなく、欧州、オーストラリア、インドの市場でも外部委託戦略で成功したと分析している。

 Renesolaと幾分似た戦略を採る企業もある。Canadian Solarは、カナダの製造拠点を拡張し、例えば日本市場に向けた出荷量を増やしている。このような動きは他の中国企業にも見られる。

 中国企業のこのような戦略は成功している。2014年第2四半期には米国市場向けの出荷量が1GWを突破。特にTrina Solarが強い。2014年6月までの1年間の同社の出荷量は、米国企業として一人勝ち状態にあるFirst Solarとほぼ同レベルだという。Trina Solarに続くのがSunPower。以上がNPD Solarbuzzの調査と分析だ。

市場のガードを高める米国政府

 米国政府は中国製品の締め出しを全く諦めていない。米商務省は2014年7月に太陽電池モジュールに対する新しい反ダンピング課税の仮決定内容を発表している*2)。税率は26〜165%と高く、企業別に税率が定められている。特徴は2012年の課税の「穴」をふさぐ形になる可能性があること。例えば太陽電池モジュールに組み込むセルについて2012年の課税では中国製のみを対象としていたが、今回の課税案では中国製のセルに加えて中国製のモジュール、さらには台湾製のセルとモジュールをも対象とした。

 商務省は2014年12月に最終決定結果を発表する。中国企業の戦略は新しい反ダンピング課税の内容を受けてさらに変化していくことだろう。

*2) 米商務省国際貿易局(ITA)が公開した7ページのプレスリリース(PDF)には税率や対象となる企業などが詳細に記述されている。

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.