日本市場が世界一? 太陽光の需要予測自然エネルギー

太陽光発電に関する調査会社である米NPD Solarbuzzは2014年9月、アジア・太平洋地域について、太陽光発電システムの需要予測を発表した。同地域の主要5カ国が世界市場に占める比率は約60%に達するという。中国市場と日本市場の規模が大きいものの、2つの市場は性格がかなり異なるという。

» 2014年09月29日 16時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 日本が世界の太陽光発電システム市場の主戦場になりそうだ。太陽光発電に関する調査会社である米NPD Solarbuzzが2014年9月に発表したアジア・太平洋地域の予測である。

 同社は2014年下半期と2015年上半期の市場規模を予測している。それによると、2014年下半期の世界需要の約60%をアジア・太平洋市場が占めることになり、そのうち95%を5カ国で支える。5カ国とは中国と日本、インド、オーストラリア、タイだ。2014年下半期の5カ国の需要量は合計17.2GWに達する(図1)。なかでも中国と日本が大きい。

図1 2014年下半期と2015年上半期の市場規模(需要量) 出典:NPD Solarbuzz

 図1でえび茶色に描かれているグラフを見れば分かるように、中国の市場規模は大きいものの安定していない。同社によれば2014年下半期は季節要因のために需要が急増する。中国市場の課題はもう1つある。設置位置だ。中国の国家能源局(National Energy Administration)は分散型太陽光発電システムを推進している。特に屋根設置型を拡大しようとしている。ところが、需要の約80%が地上設置型なのだ。

 黄色く描かれている日本市場は、規模が安定している。2015年度第1四半期は中国の需要が減少するため、世界一の規模になる可能性がある。

 設備認定済みの案件全てが事業化されることはない*1)と予測したものの、2014年下半期で5GW程度の実需になるという。同社は太陽光発電システムのコスト低下と、(世界的に見て)高い買取価格によって、今後数四半期は急速に導入が進むと予測した。

*1) 2014年5月末時点の設備認定済みの案件が全て運転を開始すると7431万kW(74.3GW)となる(関連記事)。

 インドには太陽光発電システムの導入を妨げる要因と、推進する要因が1つずつあるのだという。まず、政府の政策が不透明なことが抑制要因だ。国家太陽光発電ミッションはフェーズ2バッチ2という段階にあり、太陽光発電プロジェクトの公開入札制度を実施したものの、予想していた需要が生まれていないのだという。促進する要因は貿易だ。中国の太陽光発電モジュールに対する反ダンピング課税が回避された。安価な部材が市場の成長を促進する。

 オーストラリアとタイの見通しは明るくない。2014年は年間の需要が減少するとした。再生可能エネルギー政策の見直しが遅れていること、投資環境が不安定であることが原因だ。ただし、オーストラリアは2014年末ごろから需要が高騰する。例えば、主要都市圏を抱える南東部のニューサウスウェールズ州のプロジェクトだ*2)

*2) オーストラリアAGL Energyのプロジェクト「Nyngan Solar Plant」では、ナインガン市(102MW)とブロークンヒル市(53MW)に分散設置する。年間発電量は合計36万MWhを見込む。乾燥地帯に設置するためか、設備利用率(27%)の高さが際立っている。

 この他の諸国では、フィリピンやインドネシア、パキスタンなどが有望だとした。例えば、パキスタンは1GW規模の計画「Quaid-e-Azam太陽光発電プロジェクト」の第1フェーズ(100MW)の設置が始まるという。

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