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» 2014年10月07日 09時00分 UPDATE

エネルギー列島2014年版(26)京都:古都にも再生可能エネルギーを、スマートな町家を起点に普及を図る (1/2)

1200年の歴史を誇る京都は日本の文化の最先端を走り続けて、環境やエネルギーの面でも国の方向性を示す役割を担ってきた。しかしエネルギー資源には恵まれず、再生可能エネルギーの導入量は多くない。さまざまな制約を抱えながらも、京都ならではのユニークな試みが始まった。

[石田雅也,スマートジャパン]

 日本で初めて事業用に造られた水力発電所が京都市内で今なお健在だ。関西電力の「蹴上(けあげ)発電所」で、100年以上も前の1891年から動き続けている。滋賀県の琵琶湖から京都市まで水を供給するための疏水の流れを利用して4500kWの発電能力がある。

 京都市の資料によると、関西電力の前身である「京都電燈」が石炭火力発電を廃止して水力発電へ切り替えたのが始まりだ。まさに全国に先駆けて再生可能エネルギーの導入を推進したプロジェクトで、進取の気風に富む京都を象徴する発電所と言える。

 ところが近年になって全国各地で再生可能エネルギーが拡大する勢いと比べて、京都府内の導入量はさほど伸びていない。実は自然エネルギーに恵まれない地域の特性があるからだ。全国の政令指定都市の年間日照時間と年間平均風速を比較すると、京都市は20都市のうち日照時間が下から3番目で、平均風速では最下位になる(図1)。太陽光発電や風力発電を実施しても効率が低く、事業者にとってはメリットが小さい。

kikou_kyoto.jpg 図1 全国の政令指定都市の年間日照時間(左)、年間平均風速(右)。出典:京都市環境政策局

 それでも京都ならではの気風を発揮して、「原子力発電に依存しない持続可能なエネルギー社会」を目指す。京都市は2013年12月に策定したエネルギー推進戦略の中で宣言した。2020年までに市全体のエネルギー消費量を2010年と比べて15%以上削減する一方、再生可能エネルギーの導入量を3倍以上に拡大する計画だ。

 新たな取り組みを象徴するプロジェクトが「エコリノベーション・京町家」である。京都市内に残る伝統家屋の「町家(まちや)」を改修して、省エネと創エネの機能を備えた最新のスマートハウスに仕立て上げる。第1号のモデル住宅が市内の中心部に完成して、2014年8月から一般に公開中だ(図2)。この町家は公開後に販売する予定で、2015年2月から居住者による実証実験に入る。

machiya3.jpg 図2 「エコリノベーション・京町家」のモデル住宅。出典:京都市産業観光局

 2階建てで延床面積が84平方メートルの町家には、発電設備として屋根に2kW強の太陽光パネルを設置したほか、家庭用燃料電池のエネファームで電力と熱を供給する。省エネの面では町家の特徴である空気の流れを生かせるように床下空調システムを取り入れた(図3)。

machiya2.jpg 図3 モデル住宅の主な装備。出典:京都市産業観光局

 屋根や壁には断熱材を入れて、窓ガラスも断熱効果の高い複層式にした。さらにHEMS(家庭向けエネルギー管理システム)を使って時間ごとの電力使用量やガス使用量を測定することができる。省エネと創エネの組み合わせでエネルギーの使用量を実質的にゼロにする「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」に近い仕様になっている。

 京都市は町家の購入者が入居してから1年間を実証実験に位置づけて、省エネ効果や住み心地、改修前後の熱の伝導率や損失率などを分析して公表する予定だ。その結果をもとに町家の改修モデルを普及させる狙いである。再生可能エネルギーの導入量そのものはわずかだが、市民の意識を高める効果は小さくない。

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