住宅でも全量買取、11kWを搭載する戸建スマートハウス(1/2 ページ)

近鉄不動産は2014年10月、太陽光発電の売電に向く戸建住宅「太陽の住まい」の販売を近畿地方で開始した。住宅の屋根に10kW以上の太陽電池モジュールを設置し、固定価格買取制度を利用して20年間の全量買取を狙う住宅である。

» 2014年10月20日 12時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 近鉄不動産は2014年10月、太陽光発電の売電に向く戸建住宅「太陽の住まい」の販売を近畿地方で開始した(図1)*1)。屋根に10kW以上の太陽電池モジュールを設置し、固定価格買取制度(FIT)を利用して20年間の全量買取を狙った住宅である*2)

 2015年1月末までは「太陽の住まい 太陽光10kWキャンペーン」として、出力1kW当たり30万円で提供する。通常の価格の70%弱の価格だという。

*1) 近鉄沿線の主な住宅地で分譲中の注文住宅用地において、工事請負契約を結ぶことで導入できる。対象地区は奈良市や奈良県生駒市、同大淀町、三重県名張市など。「日照を遮るものがなく、北側斜線を確保できる宅地を合計20戸分用意した。モデルプランであれば確実に建設できる」(近鉄不動産)。
*2) FITを利用する場合、出力を10kW未満に抑えると、買取価格は37円/kWh(2014年度、税込)に上がるものの、買取期間が10年間に半減する。さらに買取方式が発電した電力の全てを売電する「全量買取」ではなく、宅内で消費した後に余った分を売電する「余剰買取」となる。

図1 太陽の住まいモデルプランの外観イメージ 出典:近鉄不動産

 図1に示したモデルプランは、延床面積115.92m2(1階66.24m2、2階49.68m2)というもの(図2)。太陽電池モジュールを屋根に11.368kW搭載する。「このプランの場合、住宅と太陽光発電システムを合わせたキャンペーン適用後の価格は2867万円(税込)である」(近鉄不動産)。

図2 モデルプランの平面図 出典:近鉄不動産

 モデルプランを奈良市に建築し、南向けの片流れ屋根(勾配3寸)*3)に太陽電池モジュールを設置した場合、年間予想発電量は1万2247kWh。発電効率の低下を加味した20年間の発電量は23万3647kWh。これをFITの34.56円(税込)で売電すると、20年間の売電収入は807万4598円になるという。

 売電収入は設置費用によりも約277万円(キャンペーン適用時は約436万円)多くなる。売電収入を2500万円のローン返済(金利0.775%)に利用すると、月額6万7980円の定額支払を20年間にわたって3万円台に維持できるとした。

*3) 水平1尺(30.3cm)に対して、3寸(9.09cm)の角度の勾配

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