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» 2014年12月02日 09時00分 UPDATE

エネルギー列島2014年版(33)岡山:酪農の街に木質バイオマス、塩田やゴルフ場には巨大メガソーラー (1/2)

森林に囲まれた岡山県の真庭市で木質バイオマスを活用したプロジェクトが進んでいる。地元の森林組合が中心になって、2万2000世帯分の電力を木質100%で供給する計画だ。県内では巨大なメガソーラーの建設計画も続々と始まり、役割を終えた塩田やゴルフ場が発電所としてよみがえる。

[石田雅也,スマートジャパン]

 「ジャージー牛」などの酪農で有名な蒜山(ひるぜん)高原がある岡山県の真庭市(まにわし)は面積の8割を林野が占めている。古くからの温泉街もあって、自然エネルギーと観光資源に恵まれた地域だ。2005年に9つの町と村が合併して真庭市が誕生したのを機に、「バイオマスタウン構想」が始まった。

 その中で全国の自治体から注目を集めているのが、木質バイオマスによる発電プロジェクトである。真庭市と地元の林業が共同で2013年4月に「真庭バイオマス発電」を設立して、地域の木材を使った再生可能エネルギーによる発電事業を推進中だ。発電所の建設予定地のすぐ近くには、木材を集約してチップに加工する「真庭バイオマス集積基地」が2008年から稼働している(図1)。

図1 「真庭バイオマス発電所」の所在地と周辺のチップ製造事業者。出典:真庭市産業観光部

 木質100%のバイオマス発電所は2015年4月に運転を開始する予定だ(図2)。発電能力は10MW(メガワット)で、1日24時間の連続運転で年間に330日の稼働を予定している。年間の発電量は7920万kWhを見込んでいて、一般家庭の2万2000世帯分に相当する。これは真庭市の総世帯数(約1万8000世帯)を上回る。

図2 「真庭バイオマス発電所」の完成イメージ(上)、「真庭バイオマス集積基地」(下)。出典:真庭市産業観光部

 燃料になる木材は地元の森林組合を中心に供給する体制ができあがっている。バイオマス発電所では年間に約15万トンの木材を燃料に利用する計画だ。そのうちの9万トンは周辺地域を加えて森林から未利用の木材を収集する一方、残り約6万トンは製材所から出る端材などの一般木材で補充する(図3)。

図3 バイオマス発電事業の全体像。出典:真庭市産業観光部

 固定価格買取制度では未利用木材によるバイオマス発電の買取価格は1kWhあたり32円(税抜き)で、一般木材は24円(同)に設定されている。2種類の組み合わせで年間の売電収入は約21億円を見込める。

 発電所の建設費は約41億円である。さらに木材の調達費が年間に9万トンで約13億円になり、運転維持費が毎年2億7000万円ほどかかる。約21億円の売電収入によって1年あたり5億円程度の利益が出る見通しで、投資額の41億円は十分に回収できる想定だ。しかも地域の林業には従来なかった未利用木材の販売収入が入る。

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