750万台のスマートメーターが2015年度に、小売事業者の設置も認める電力供給サービス(1/2 ページ)

全国で8000万以上の家庭や企業にスマートメーターを導入する計画が着々と進んでいる。2015年度には九州を除く9つの電力会社が導入を開始して、年間に750万台を設置する計画だ。政府は電力会社以外の小売事業者にも設置を認める方向で、事業者間の責任分担などの検討を開始した。

» 2014年12月12日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]
図1 スマートメーターの外観。出典:東京電力

 30分単位の電力使用量を自動的に検針できるスマートメーター(図1)には、さまざまなメリットが見込まれている。

 電力会社は検針のコストを削減できるのと合わせて、電力の使用量に基づく節電支援サービスを顧客に提供できるようになる。使用量のデータは電力会社以外の事業者でも利用できるため、セキュリティ分野などで新しいサービスが始まる期待も大きい。

 各地域の電力会社は2016年4月の小売全面自由化までにスマートメーターの本格的な導入を開始する計画である。2014年度内に5社で合計366万台、2015年度には9社で合計750万台の設置が予定されている。10社のうち東京電力が最も早く2020年度に導入を完了するほか、2023年度までには全国で約8200万の顧客にスマートメーターが行きわたる見通しだ(図2)。

図2 電力会社のスマートメーター導入計画。出典:資源エネルギー庁

 スマートメーターで計測する電力使用量などのデータは3種類の経路で送られることになっている。スマートメーターと電力会社のあいだの「Aルート」のほかに、家庭にデータを提供する「Bルート」、さらに電力会社から小売事業者などにデータを配信する「Cルート」がある(図3)。

図3 スマートメーターのデータ通信ネットワーク(画像をクリックすると拡大して詳細を表示)。出典:資源エネルギー庁

 このうちAルートとBルートによるデータの送信は2016年4月までに各電力会社が開始する予定だ。Cルートでも2016年4月には電力会社の送配電部門から小売事業者などにデータを提供できる見込みで、スマートメーターで計測してから60分以内をめどにデータを送信する仕組みを検討している。

 さらに小売事業者などがスマートメーターを設置できるようにすることも検討中だ。現在の政府案は3通りのパターンがある。スマートメーターの選定・調達・運用の各プロセスの責任主体を電力会社と第三者(小売事業者など)でどのように分けるかによる(図4)。それぞれのパターンの問題点を検証したうえで早急に実施方法を決める。

図4 電力会社以外の第三者によるスマートメーターの設置パターン。出典:資源エネルギー庁
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