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» 2014年12月22日 07時00分 UPDATE

自然エネルギー:最先端の海洋エネルギー発電設備が水没、佐賀県の加部島の沖合で

政府が海洋エネルギーの実証フィールドに選定した佐賀県の沖合で進んでいた発電設備の設置工事が突如中断した。洋上の風力と海中の潮流の両方で発電できる画期的なシステムだが、12月18日に水没してしまった。事業者の三井海洋開発は水没した設備を回収して計画を練り直す。

[石田雅也,スマートジャパン]
skwid0_sj.jpg 図1 潮流・風力ハイブリッド発電の実施海域。出典:佐賀県農林水産商工本部

 佐賀県の最北端にあるイカで有名な呼子町(よぶこちょう)の沖合は玄界灘の潮流が速く、海洋エネルギーの宝庫でもある。九州本島と橋でつながる呼子町の加部島(かべしま)の沖合1.2キロメートルの洋上で、日本で初めての浮体式による潮流・風力ハイブリッド発電システムの設置工事が進んでいた(図1)。

 ところが設置中の発電設備が12月18日(木)の早朝に水没してしまったため、工事は中断を余儀なくされた。

 このハイブリッド発電システムは三井海洋開発の「skwid(スクイッド)」で、10月から現地で工事を開始していた。浮体の上部に垂直軸で回転するダリウス型の風車を備える一方、海中に入る下部には潮流の水圧で回転するサポニウス型の水車が付いている(図2)。全体では高さが69メートル、円形の浮体部分は直径が29メートルの大きさで、重量は約1000トンに達する巨大な設備である。

skwid1_sj.jpg 図2 浮体式潮流・風力ハイブリッド発電システム「skwid」。出典:三井海洋開発

 風力と潮流の2つの再生可能エネルギーを利用することで、気象条件の変化にも対応しやすい点が特徴だ。天候の影響を受けにくい潮流のエネルギーで発電できて、風車を起動するための電力を外部から供給する必要がない(図3)。国内で初めて加部島の沖合に設置して、2015年中に運転を開始する計画になっていた。政府が海洋エネルギーの実証フィールドに選定して支援する体制もできている。

skwid2_sj.jpg 図3 潮流・風力ハイブリッド発電の仕組みと性能。出典:三井海洋開発

 三井海洋開発によると、発電設備が水没した原因は12月19日の時点ではわかっていない。16日の午後から18日の早朝にかけては、異常に発達した低気圧が日本全体を覆って天候が荒れていた。佐賀県の北部でも瞬間最大風速が毎秒20メートルを超える状況で、強風や高波の影響から発電設備の水没に至った可能性が大きい。

 水没した発電設備は海底に沈んでいるため、損傷の状態などを確認したうえで陸上に引き上げる予定だ。その後に原因の調査を開始するが、調査の終了時期を含めて今後のスケジュールは未定である。

 この発電設備は本来であれば2013年10月から加部島の沖合で実証実験を開始する予定だったが、海上を輸送中にトラブルが発生して計画を延期した経緯がある。今回が2度目のトラブルになるが、日本の海洋エネルギーの未来を切り開く先端的な取り組みであるだけに、対策を十分に検討したうえで計画の再開が望まれる。

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