蓄電池内蔵のパワーコンディショナー、停電に強い蓄電・発電機器(1/2 ページ)

GSユアサは、リチウムイオン蓄電池一体型のパワーコンディショナー「パワーソーラーIII」を発表した。災害時の避難所となる拠点に向く製品。停電時には自動的に自立運転へ移行し、太陽電池で蓄電池を充電できる。

» 2015年01月28日 09時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 GSユアサは2015年1月27日、リチウムイオン蓄電池一体型のパワーコンディショナー「パワーソーラーIII」を発表した(図1)*1)。「地方公共団体、例えば災害時の避難所となる公民館や学校などを対象として開発した製品だ」(同社)。停電時には自動的に自立運転へ移行可能。設置した太陽電池が生み出す電力を売電するというよりも、蓄電池と組み合わせて有効活用しようという発想の製品だ。

 パワーコンディショナーの能力は出力4.5kW、効率94.5%。顧客の要望に応じて、蓄電池の容量を3種類から選択できる。蓄電池の容量が4.2kWh(LSSC-4.5-S3C-24-RS)の場合の価格は454万円。8.4kWhでは665万円、12.6kWhは887万円である*2)

*1) 既に出荷を開始している。同社は鉛蓄電池を用いた製品を開発・販売しており、第三世代の製品であることから「III」とした。
*2) 寸法はいずれも幅980mm×奥行き350mm。4.2kWhの場合の高さは1100mm、8.4kWhは1450mm、12.6kWhは1800mm。重量は220〜400kg。アンカー施工が可能であれば屋外に設置できる。防水規格IP34相当。

図1 パワーソーラーIII(左)とモニター(右)の外観 本体の最上部がパワーコンディショナー、下部が蓄電池。(クリックで拡大) 出典:GSユアサ

運転モードは3種類

 蓄電池放電時にその電力を系統に流さないよう、逆潮流防止制御機能を開発し、実装した。蓄電池からの逆潮流は防ぎ、太陽電池からの逆潮流を妨げない。

 システムの動作モードは3種類ある。いずれの動作モードを選んだ場合でも停電に対応する*3)。まず、装置を設置する前に、平常時にのみ利用する「一般負荷」と停電時に電力を供給したい「特定負荷」をあらかじめ区分しておく。

 いざ停電したとき、特定負荷の使用電力が、太陽電池の出力よりも大きい場合は、蓄電池も放電。2種類の電力源で特定負荷を賄う。そうでない場合は、太陽電池の出力の一部を蓄電池の充電に回す。夜間は蓄電池からのみ放電する。

*3) 自立運転時の出力は2kVA(4.2kWh品)、3.5kVA(8.4kWh品)、4kVA(12.6kWh品)。

 平常時の動作はモードによって異なる。防災対応に最も向くのが「停電対応運転モード」だ(図2)。日中は蓄電池を一切利用せず、常に満充電状態で維持する。蓄電池はわずかに自己放電を起こすため、夜間電力を利用して系統から充電する。

図2 停電対応運転モード(通常時) 出典:GSユアサ
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