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» 2015年02月10日 09時00分 UPDATE

エネルギー列島2014年版(42)長崎:島々にあふれる太陽光と海洋エネルギー、農業や造船業の復活に (1/2)

長崎県には島が1000近くもあり、周辺の海を含めて再生可能エネルギーの宝庫だ。島の1つでは日本最大の430MWに達するメガソーラーの建設計画が進行中で、降り注ぐ太陽光を受けて発電と農業の再生に挑む。別の島の近海では海洋エネルギーの開発が造船業を中心に活発になってきた。

[石田雅也,スマートジャパン]

 九州本土の西に広がる五島列島の最北端に「宇久島(うくじま)」がある(図1)。恵まれた自然の中で農業と漁業の盛んな島だったが、近年は人口の流出が続いて耕作放棄地が増えてしまった。島の活性化と再生可能エネルギーの導入を目的に、大規模なメガソーラーの開発プロジェクトが2014年6月に始まった。

ukujima0.jpg 図1 宇久島の景観と位置。出典:フォトボルト・デベロップメント・パートナーズほか

 ドイツの太陽光発電事業者であるフォトボルト・デベロップメント・パートナーズを中心に、国内の大手企業4社が加わって「宇久島メガソーラーパーク」を建設する計画だ。島の面積の約4分の1に相当する630万平方メートルの用地に172万枚にのぼる太陽光パネルを設置する。

 島に広がる農地や耕作放棄地に支柱を立てて、高い位置に太陽光パネルを取り付ける点が特徴だ。地面まで太陽光が入り込んで、農作物の栽培が可能になる。ほかにも島で育つ高級和牛の飼育に生かす。このプロジェクトでは地元の畜産農家に農作業を委託することになっている。

 メガソーラーの発電能力は430MW(メガワット)に達する。岡山県の瀬戸内市で建設中の230MWの計画をはるかに超えて日本最大のメガソーラーになる見込みだ。年間の発電量は5億kWhにのぼり、一般家庭で約14万世帯の使用量に相当する。宇久島が属する佐世保市の総世帯数(約10万世帯)さえも上回る規模になる。

 発電した電力は九州本土まで約65キロメートルの距離を海底ケーブルで送って、九州電力に売電する予定だ。すでに固定価格買取制度の認定も受けている。2015年度中に着工する予定だが、完成時期は具体的に決まっていない。

 長崎県の沿岸地域は島を含めて日射量が豊富だ。佐世保市の本土側では、九州電力グループのキューデン・エコソルが10MWのメガソーラーを2014年3月に運転開始した(図2)。もともと九州電力の火力発電所があった場所で、海に面して広く平らな土地はメガソーラーに適している。

sasebo.jpg 図2 「佐世保メガソーラー発電所」の全景。出典:キューデン・エコソル

 九州電力グループは火力発電所の跡地を利用してメガソーラーの開発を積極的に進めている。長崎県内では大村市の沿岸部にあった火力発電所の跡地に、発電能力13.5MWの「大村メガソーラー発電所」を建設して2013年から運転している。佐世保と大村の2つのメガソーラーを合わせると、年間の発電量は6700世帯分に相当する。

 同じように広くて平らな場所と言えば空港がある。長崎空港の滑走路に隣接する県の所有地でも、29MWの大規模なメガソーラーの建設計画が進行中だ(図3)。太陽光パネルメーカーのソーラーフロンティアと地元のガス会社であるチョープロが共同で事業を運営する。

airport.jpg 図3 長崎空港のメガソーラー建設予定地。出典:ソーラーフロンティア、チョープロ

 ソーラーフロンティアが製造する薄膜タイプの太陽光パネルを採用して、光が当たっても反射しにくい特性を空港の中で生かす。関西国際空港でも同じタイプの太陽光パネルを使って、滑走路の脇にメガソーラーを稼働させた実績がある。長崎空港では2016年7月に運転を開始する予定だ。

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