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» 2015年02月24日 09時00分 UPDATE

エネルギー列島2014年版(44)大分:「おんせん県」は地熱発電だけじゃない、山と海からバイオマスと太陽光 (1/2)

地熱発電の導入量で全国トップの大分県では、地域の森林資源を生かした木質バイオマス発電のプロジェクトが活発に始まっている。農林水産業と連携して地産地消型の再生可能エネルギーを拡大する取り組みだ。新電力も参画して、電力会社に依存しないエネルギー供給体制が着々と広がる。

[石田雅也,スマートジャパン]

 大分県は特性によって6つの地域に分けることができる(図1)。このうち木質バイオマスが盛んなのは内陸部の3地域である。特に西部の日田市(ひたし)と南部の佐伯市(さいきし)を中心に大規模な発電プロジェクトが相次いで立ち上がっている。

図1 大分県の地域区分。出典:大分県商工労働部

 日田市では地元の企業2社が共同で設立したグリーン発電大分の「天瀬(あまがせ)発電所」が2013年11月に運転を開始した。発電能力は5.7MW(メガワット)で、一般家庭の使用量に換算して約1万世帯分の電力を供給することができる。

 燃料に使う木材は地域の森林事業者17社で構成する協議会が供給する。森林には間伐材や根曲がり材などが大量に発生するため、用途のない木材はC材やD材と呼ばれて山林の中に残置されている。こうした未利用の木材を森林事業者が集約して発電所に供給する体制を作り上げた(図2)。

図2 「天瀬発電所」の木質バイオマス利用の仕組み。出典:グリーン発電大分

 未利用の木材を収集する範囲は発電所から半径50キロメートル程度の近隣地域である。発電所の敷地内には木材からチップを製造する工場も併設して、収集した木材を発電用の燃料として安定的に供給できる一貫体制を整備した。年間に使用する木質チップは6万トンにのぼる。

 日田市内では2006年に「日田ウッドパワー発電所」が運転を開始して、地域の資源をエネルギーに転換する取り組みを先導してきた。発電能力が12MWもある大規模な木質バイオマス発電所である(図3)。林地残材のほかに製材工程で生じる端材などを含めて、年間に12万トンを燃料に使っている。

図3 「日田ウッドパワー発電所」の全景。出典:ファーストエスコグループ

 日田ウッドパワーを運営するファーストエスコグループは大分県内に2つ目の木質バイオマス発電所を建設中だ。南部地域に近い豊後大野市(ぶんごおおのし)に「大分第2木質バイオマス発電所」(仮称)を2015年内に稼働させる計画である。

 発電能力は日田ウッドパワーを上回って18MWに達する。年間の発電量は1億2000万kWhを見込んでいて、一般家庭で3万3000世帯分の使用量に相当する。豊後大野市の総世帯数(約1万6400世帯)のちょうど2倍の規模になる。燃料に使用する木質バイオマスは林地残材と製材端材を合わせて年間に21万トンを予定している。

 隣接する佐伯市でも木質バイオマス発電所の建設プロジェクトが2カ所で始まった。新電力のイ―レックスがセメント工場の遊休地に50MWの巨大な発電設備を建設する。燃料に使うのは東南アジアから輸入するパームヤシ殻である(図4)。投資額は170億円にのぼり、2016年の秋に運転を開始する見通しだ。

図4 佐伯市に建設する木質バイオマス発電所の完成イメージ(左)と燃料に使用するパームヤシ殻(右)。出典:イ―レックス、JFEエンジニアリング
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