未利用材100%のバイオマス発電所、1万1000世帯分の電力を供給自然エネルギー

森林資源が豊富な宮崎県で、地域の未利用材だけを燃料に使うバイオマス発電所が運転を開始した。山林に残された未利用材から、一般家庭で1万1000世帯分の電力を作り出すことができる。発電所の構内には木材をチップに加工する設備を備えて、年間に7万2000トンを燃料に利用する計画だ。

» 2015年02月27日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]
図1 都農町の風景。出典:都農町役場

 宮崎県の中部に位置する都農町(つのちょう)は、海と山に囲まれた温暖なところだ(図1)。日照時間が長くて太陽光発電に適しているが、町の6割以上を山林が占めている。山林で大量に発生する間伐材などの未利用の木材を燃料に使って、新設のバイオマス発電所が2月1日に運転を開始した。

 都農町内で2009年に設立されたグリーンバイオマスファクトリーが建設・運営する。発電能力は5.75MW(メガワット)で、年間に4000万kWhの電力を供給できる見込みだ。一般家庭で1万1000世帯分の使用量に相当する。都農町の総世帯数(約4000世帯)の3倍近い規模になる。

 発電した電力は固定価格買取制度を通じて九州電力に売電する計画だ。未利用材によるバイオマス発電の買取価格(1kWhあたり32円、税抜き)を適用すると、年間の売電収入は12億8000万円になる。燃料に使う未利用材は年間に7万2000トンを想定している。発電所の構内には木材を粉砕してチップに加工する施設も建設した。燃料の木質チップを安定して供給できる体制になっている(図2)。

図2 「グリーンバイオマスファクトリー都農発電所」の全景。出典:住友重機械工業

 発電設備には木質バイオマスでも高い燃焼効率を発揮する「循環流動層ボイラー」を採用した。ボイラーの中で高温の砂を循環させながら燃焼させる方式で、化石燃料と比べて燃えにくい木質チップでも効率よく燃焼させることができる。450度以上の蒸気を発生して、発電機のタービンを高速に回転する仕組みだ。

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