停電に強い蓄電池システム、太陽光の電力を直流の状態で充電蓄電・発電機器

太陽光で発電した電力を効率よく充電できる直結方式の蓄電池システムが増えてきた。従来のような直流と交流の変換が不要で、発電した電力を無駄なく充電できる利点がある。オムロンは電力の変換効率が96%のパワーコンディショナと組み合わせた蓄電池システムを4月中に発売する予定だ。

» 2015年03月09日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 オムロンの新しい蓄電池システムは3つのユニットで構成する(図1)。中核の蓄電池ユニットは家庭用の空気清浄機と同程度の大きさで、容量が6.4kWhの屋内設置タイプである。一般家庭で1日に使用する電力量(10kWh)の6割以上に相当する分を充電・放電できる。重量は約60キログラムで、オムロンの調べによると現時点では世界で最軽量クラスだ。

図1 「蓄電池ユニット」(左)、「DC/DCコンバータ」(中央)、「パワーコンディショナ」(右)。出典:オムロン

 この蓄電池と組み合わせて使うパワーコンディショナには、太陽光発電の電力を直流のまま蓄電池に送り込む機能を搭載した。直流−交流の変換に伴う電力の損失がなく、発電した電力の96%を蓄電池に供給することが可能になった。重量は約25キログラムで、蓄電池と接続するDC/DCコンバータも約13.5キログラムと軽い。2つのユニットは建物の外壁に設置する(図2)。

図2 設置イメージ(蓄電池は屋内、パワーコンディショナとDC/DCコンバータは屋外)。出典:オムロン

 蓄電池は目的に合わせて運転モードを設定することができる。「経済モード」では昼間の太陽光で発電した電力を売電しながら、単価の安い夜間電力を充電して朝や夕方に利用する。「強制充電モード」を選ぶと満充電の状態を維持して万一の停電に備える。ほかにも常に50%以上の充電率をキープする「安心モード」などがある。

 パワーコンディショナにも停電対策の機能を搭載している。地域内で停電が発生した場合に、住宅の太陽光発電が単独運転を続けることで感電や火災を生じる危険性がある(図3)。このようなリスクを回避するために、停電時の単独運転を検出する機能を備えて事故を防止する仕組みになっている。

図3 停電時に太陽光発電システムが単独運転することで発生する可能性のある事故。出典:オムロン

 オムロンは3つのユニットで構成する蓄電池システムを4月中に発売する予定である。オープン価格で3年間に3万セットの販売を目指す。蓄電池はリチウムイオン電池で構成して、約8000サイクルの充放電まで適応する。1日あたり1サイクルで使用する場合には、10年後でも60%以上の充電容量を維持することができる。

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