太陽電池の新しい姿、熱利用から光透過や高効率まで蓄電・発電機器(1/3 ページ)

シャープは東京で開催された「スマートエネルギーWeek 2015」においてさまざまな太陽電池技術を見せた。開発中の高効率品の他、光の他に熱も利用する「PVサーマルシステム」や、フレキシブルで軽量なことを特徴とするシースルー太陽電池だ。

» 2015年03月09日 16時30分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

 シャープはさまざまな太陽電池モジュールを開発している。高効率なものはもちろん、窓の代わりに利用できるよう、光が透過するもの、さらには熱を回収して利用するものもある。東京で開催された「スマートエネルギーWeek 2015」(2015年2月25日〜27日)では、最新の太陽電池技術を見せた。

 「PVサーマルシステム」は今後、まず欧州で製品化を狙う太陽光発電システム(図1、図2)。太陽電池は光を吸収して電力を生み出すものの、吸収した光の一部は電力ではなく熱に変わってしまい、表面温度が70度以上に上がることもある。この熱を回収してヒートポンプに通じる。すると、水道水を加熱するよりも少ない電力で温水を作り出すことができる。そのまま温水として使う他、暖房にも利用できるという。

図1 PVサーマルシステムの考え方
図2 屋根上に設置したところ モジュール下部に配管を接続する部分が見えている

 住宅内のエネルギー利用のうち、熱利用が占める割合は大きい。エネルギー白書2013年によれば、住宅のエネルギー消費の28%が給湯用、27%が暖房用である。つまり5割以上は熱として利用している。太陽光発電システムが生み出す電力は、電力でなければ賄うことができない照明や冷蔵庫、テレビに利用し、必要な熱はPVサーマルシステムから供給すればよいという考え方だ。将来は熱と電力を総合的に管理するHEMSの開発も考えているとした。

 なお、シリコン太陽電池は表面の温度が上がると発電量が減少する性質がある。一般には温度が10度上昇すると、出力は4〜5%低下する。太陽電池モジュールの公称出力は25度のときの値。そのため、表面温度が75度まで上昇すると20〜25%も出力が下がってしまう。PVサーマルシステムを利用すれば太陽電池の温度を下げることができるため、発電量も増えるという一石二鳥の効果がある。

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