再生エネ=最大の電力源、80%の目標に向かうドイツの戦略自然エネルギー(1/2 ページ)

ドイツ連邦経済エネルギー省は、総電力消費量に占める再生可能エネルギーの割合が2014年、過去最高の27.8%に達したと発表した。これまで最大の電力源だった褐炭を初めて上回ったという。輸入資源である石油や天然ガスの比率も同時に下げた。

» 2015年03月25日 07時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

 ドイツ連邦経済エネルギー省(BMWi)は、総電力消費量に占める再生可能エネルギーの割合が2014年、27.8%に達したと発表した(関連記事)。2013年の25.4%から2.4ポイント上昇し、過去最高を記録した。これまで最大の電力源だった褐炭を初めて上回ったという。再生可能エネルギーの統計に関するワーキンググループ(AGEE-Stat)が取りまとめたもの。

再生可能エネルギー80%への道

 電力に関するドイツのエネルギー政策は一貫している。最大の目的は電力源に占める再生可能エネルギーの比率を高めること。低価格で二酸化炭素を排出せず、輸入燃料に頼らない電力源の入手が可能になる。風力、バイオマス、太陽光を軸に発電設備を整えることで実現する。

 同時にコージェネレーションの推進、エネルギー効率の向上、省エネルギーによって、総電力消費量が高くならないように抑える。総量を抑えなければ再生可能エネルギーの比率は高くならない。エネルギー源の構成を一貫して再生可能エネルギー寄りに変えながら、原子力発電も廃止する。

 ドイツでは再生可能エネルギーの目標比率を5〜10年ごとに定め、徐々に高めていく。2025年には40〜45%、2035年には55〜60%、2040年に65%、2050年に80%というものだ。

図1 各種電力源による年間発電量の推移 縦軸は億kWh。出典:AGEBが公表した数値に基づき本誌が作図

 図1に1990年から2014年までの主要電力源の年間発電量を示した*1)。図1から分かることは2つ。1つは政策に従って再生可能エネルギーの発電量が順調に伸びていることだ。2014年は1606億kWh。褐炭が1400億kWhから1600億kWhの水準に収まっているため、とうとう再生可能エネルギーが最大の電力源に躍り上がった。ドイツ政府はこの傾向をそのまま延長していくことで2025年の目標を達成できるとしている。

エネルギー輸入も抑える

 もう1つは輸入エネルギー源の比率を抑え、国内で賄うことが可能なエネルギーの比率を高めていることだ。2013年、ドイツの輸入額の3位が原油(総輸入額の6.2%)、4位が天然ガス(同4.2%)だった。

 ドイツはどちらも抑制に成功している。電力に占める石油火力の比率はゆっくりと下がっており、2014年時点で1%だ。同じく天然ガス火力の比率は9.5%。2010年に過去最高の14.1%を記録した後、10年前の水準まで引き下げた。

 ドイツは褐炭の生産量が世界第2位(2011年時点で1億8000万トン、世界シェア11.9%)と多い。このため、発電に占める褐炭の比率はほとんど下げていない。石炭は褐炭よりも化石燃料としての品質が高く発電にも適する。しかし、石炭の国内生産量は褐炭の10分の1以下であり、発電原価が褐炭の2倍近くなる。このような理由により、石炭火力発電を抑えている。

*1) 図1〜図3は、ドイツAGEB(Arbeitsgemeinschaft Energiebilanzen)が公表した数字から作成した。2014年の数値はいずれも速報値。

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