大容量蓄電池の「最適解」が分かった、太陽光に役立つ蓄電・発電機器(1/2 ページ)

御船ホールディングスと韓国Samsung SDI、エジソンパワーは、2015年3月、鹿児島県の徳之島に出力2MWの「御船徳之島太陽光発電所」が完成したと発表した。2MWの大型蓄電池を併設したことが特徴。発電所運営の収益を損なわず、系統に与える影響を抑えるよう、蓄電池の量を最適値にできたという。

» 2015年03月31日 13時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]
図1 徳之島の位置

 大型蓄電池を併設した民間主体の初の太陽光発電所が完成した。2015年4月に運転開始を予定する「御船徳之島太陽光発電所」(鹿児島県天城町)である(図1、図2、図3)。

 御船ホールディングスが3万7742m2の土地を開発し、出力1.99MWの太陽光発電所としたもの。エジソンパワーが発電所の設計・調達・建設(EPC)と、完成後の管理・運営(O&MI)担う。

 併設した大型リチウムイオン蓄電池は、Samsung SDIが製造した蓄電池セルを20フィートコンテナ2基に格納したもの。合計容量は780kWhだ。太陽電池による短周期の出力変動を吸収する目的で設置した。

図2 上空から見た御船徳之島太陽光発電所(クリックで拡大) 出典:エジソンパワー
図3 ほぼ平たんな土地に設置した(クリックで拡大) 出典:エジソンパワー

九州電力の要求は2つ

 徳之島の電力系統は独立している。このため、現在の系統の構成上、太陽光発電などを無制限に導入することはできない*1)。大量に導入すると、昼間の数時間、太陽光発電の出力を受け入れる余地がなくなる。これは日中に太陽光発電の出力が高まると、火力発電の出力を最小限に絞っても、島内需要を上回ってしまうためだ(関連記事)。

*1) 九州電力によれば2014年8月時点で島内の系統の需要規模は11.79MW。徳之島は10基の内燃気力(ディーゼル火力)と1基の水力で電力を供給している。内燃気力の出力を絞ることで、太陽光発電と風力発電の1日単位の変動を約3.5MW分吸収可能だ。2014年5月時点で太陽光発電の連系量は2MWである。

 御船徳之島太陽光発電所の場合は、1日単位の出力が上回ってしまう問題には至っていない。だが、もう1つの問題に対応する必要があった。短周期の変動だ。島内の需要が一定だとしよう。太陽光発電の出力が増減した場合、火力発電の出力を追従させて、太陽光と火力の合計出力を一定に保つ必要がある。しかし、火力が追従できない変化もあるだろう。どの程度の変化であれば追従できるのか。太陽光発電所を設計する段階で、九州電力から大きく2つの要求があったという。

 「1つは1秒当たりの出力の変化率を±5kW以内に収めること。もう1つは太陽光発電所が急停止した場合でも、7分間は蓄電池による出力を保証することだ」(エジソンパワー)。

 「事前の検討により、徳之島に2MWの太陽光発電所を設置すると、ほとんどの場合、1秒当たりの出力の変化率は±100kWに収まった。たが、最大700kW/秒という変化もまれに生じる。蓄電池の容量を複数種類検討した結果、2つの条件を満たすために、蓄電池の容量780kWhと、交流出力1.99MWという仕様が固まった」(エジソンパワー)。

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