総合バイオマス企業へと転換図る日本製紙、熊本県八代市の新発電所が稼働自然エネルギー

総合バイオマス企業への転換を進める日本製紙が八代工場(熊本県八代市)の敷地内で建設を進めてきたバイオマス発電所の発電設備がこのほど完成し、2015年6月から営業運転を開始している。

» 2015年06月03日 15時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 新発電所の発電規模は5000kW(キロワット、送電端)。燃料には間伐材など由来の未利用材を100%使用しており、発電した電力は再生可能エネルギーの固定価格制度(FIT)を活用して九州電力に販売する。使用する未利用材は森林資源の豊富な九州という立地を生かし、同社グループで長年にわたり木材調達を行ってきた南栄および日本製紙木材の両社の集荷網を活用して、九州で発生する間伐材を利用する。年間使用する木質バイオチップは約7万トンを見込む。

photo 図1:完成した日本製紙のバイオマス発電所(クリックで拡大)※出典:日本製紙

 日本製紙は紙作りと紙パックなどその関連事業を展開しているが、木材資源を有効に活用する技術などを生かして総合バイオマス企業として事業構造の転換を進めている。今回のバイオマス発電事業でも長年製紙事業で培ってきた発電技術、や山林経営と木材調達に関するノウハウの強みを生かす方針だ。

 バイオマス発電事業では同年4月に宮城県石巻市に石炭・バイオマス混焼火力発電所設備を建設・運営する「日本製紙石巻エネルギーセンター(仮称)」を三菱商事と設立することに合意したことを発表している(関連記事)。石巻工場が保有する雲雀野用地内に発電所を設置するもので、発電出力は14万9000kW(発電端)。2018年3月に事業を開始する予定だ。

 なお、同社は第5次中期経営計画(2015年4月〜2018年3月)の主要施策の1つとしてエネルギー事業を掲げており、新たな収益の柱となるよう売上高500億円体制の早期構築に向けて取組を加速している。その中には今回の八代市のバイオマス発電、石巻市の石炭・バイオマス混焼発電のほか、2015年2月に営業運転を開始した徳島県小松島市の太陽光発電、2016年5月開始予定の富士工場鈴川(静岡県富士市)の石炭火力発電、計画検討中の秋田工場(秋田市)の石炭・バイオマス混焼発電を主要プロジェクトとして挙げている(図2)。

photo<strong>図2:日本製紙のエネルギー関連での投資状況(クリックで拡大)※出典:日本製紙</strong>

*電子ブックレット「全国に広がる木質バイオマス発電 最新動向 −Part 2−」をダウンロード

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.