風力発電は全世界で太陽光発電の2倍、途上国にも急速に広がる再生可能エネルギーのグローバルトレンド(3)

日本では伸び悩んでいる風力発電だが、世界では太陽光発電よりも増えている。2014年には5000万kWを超える設備が運転を開始した。約半分は中国で、累計の容量でも圧倒的にトップだ。2位の米国と3位のドイツも導入量を伸ばす一方、アジアを中心に途上国の風力発電が活発になってきた。

» 2015年06月24日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

第2回:太陽光発電が2014年に28%も拡大、中国と日本の伸びが目立つ

 2014年に全世界で運転を開始した再生可能エネルギーの発電設備を種類別に見ると、容量(最大出力)が最も大きいのは風力の5100万kW(キロワット)で、太陽光の3900万kW、水力の3700万kWを上回っている。累計では3億7000万kWに達して、太陽光の1億7700万kWと比べて2倍強の規模になる(図1)。

図1 全世界で稼働している風力発電設備の総容量。単位:ギガワット(=100万キロワット)。出典:REN21

 風力発電は最近の10年間に着実に伸びてきた。2013年は米国の導入量が減少したことなどから伸び悩んだものの、その分を取り戻すかのように2014年は過去最大の増加を記録した。多くの国では再生可能エネルギーの中で風力発電のコストが最も低く、大規模な発電所の建設が加速している。

 国別の導入量では中国が圧倒的に多く、累計では1億1500万kW、2014年だけでも2300万kWの風力発電設備が稼働した(図2)。太陽光発電の4倍の規模がある。年間の発電量は1560億kWh(キロワット時)に達していて、日本の電力会社10社の火力などを含めた総発電量(約9000億kWh)と比べても2割近くに相当する。それでも中国全体の発電量の2.8%に過ぎず、国の大きさの違いが表れている。

図2 上位10カ国の風力発電設備の総容量。棒グラフの上の部分は2014年の新設分、下は2013年末の合計。単位:ギガワット。出典:REN21

 中国に次ぐ第2位は米国で、累計の容量は6600万kWになった。風力発電はヨーロッパが先進的に取り組んでいる印象だが、実際の導入量は米国のほうが大きい。中国と同様に太陽光発電よりも3倍以上の規模がある。3位以下はドイツ、スペイン、インドの順で、中でもインドと10位のブラジルで新しい風力発電設備が2014年に200万kW以上も増えている。日本は累計の容量でも280万kWにとどまりランク外だ。

 風力発電の最近の傾向の1つは、途上国で導入が活発になってきたことである。2014年の再生可能エネルギーに対する投資額を先進国と途上国に分けて集計すると、先進国では太陽光発電が風力発電の2倍以上にのぼるのに対して、途上国では太陽光と風力がほぼ同じ規模になっている(図3)。

図3 2014年の全世界の投資額。単位:10億米ドル。棒グラフの上は先進国、下は途上国。項目は上から順に、太陽光、風力、バイオマス・廃棄物、バイオ燃料、小水力、地熱、海洋。出典:REN21

 各国の状況を調べたREN21(Renewable Energy policy Network for the 21st century)によると、アジア・アフリカ・南米の途上国にも風力発電所の建設計画が広がってきた。国民1人あたりの風力発電設備の増加量では、南米のウルグアイが世界のトップになっている。アジアでもフィリピンで10万kW級の風力発電所が相次いで運転を開始したほか、パキスタンでも合計15万kWが2014年に稼働して、日本の13万kWを上回った。

第4回:水力発電が再生可能エネルギーの6割を占める、過去5年間の成長率は3%台

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