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» 2015年09月01日 09時00分 UPDATE

エネルギー列島2015年版(20)福井:バイオマス発電所が森を潤す、原子力の日本海沿岸に風力と波力も (1/2)

原子力発電所のイメージが強い福井県だが、再生可能エネルギーを導入する取り組みが着実に広がってきた。特に活発なのは地域の森林資源を生かしたバイオマス発電で、県内の2カ所で大規模な建設プロジェクトが進行中だ。沿岸部では風力発電や波力発電の開発も始まっている。

[石田雅也,スマートジャパン]

 日本海に面して長く伸びる福井県の中で、海から最も遠く離れた内陸に広がるのが大野市だ。県内で最大の面積があり、そのうちの87%を森林が占める。豊富な森林資源に恵まれた場所で木質バイオマス発電所の建設工事が進んでいる。神戸製鋼グループの神鋼環境ソリューションが中心になって設立した「福井グリーンパワー」のプロジェクトである(図1)。

図1 木質バイオマス発電所の完成イメージ。出典:福井グリーンパワー

 この計画には地元の九頭竜森林組合やニューチップ運送が参画して地域ぐるみの体制で取り組んでいる。発電能力は6MW(メガワット)で、一般家庭で1万世帯分にのぼる電力を供給する計画だ。大野市の総世帯数(1万1000世帯)にほぼ匹敵する。運転開始は2016年4月を予定している。

 燃料には地域の木材を年間に7〜8万トン使う。製品にならないC材やD材に分類されるものが中心で、曲がりや根元に近い部分である(図2)。この種の木材は森林の中に放置されることも多く、環境保全の点で効果的な処理方法が求められている。

図2 木質バイオマス発電の事業スキーム(画像をクリックすると拡大)。出典:福井グリーンパワー

 福井県は県全体で見ても75%が森林で、長年にわたって林業が盛んに行われてきた。1980年あたりまでは植林が活発だったが、以降は森林を保全するための間伐が主体になっている(図3)。今後も間伐で発生する用途のない木材の処分が大きな課題で、木質バイオマス発電は有効な対策の1つとして期待がかかる。

図3 福井県の植林・間伐面積。単位:ha(ヘクタール)。出典:福井県農林水産部

 日本海に近い敦賀市(つるがし)でも、木質バイオマス発電所の建設工事が始まろうとしている。素材メーカーの東洋紡の主力工場の1つである「敦賀事業所」の遊休地を利用して、丸紅グループが大規模な発電所を建設する計画だ(図4)。

図4 バイオマス発電所を建設する東洋紡の「敦賀事業所」。出典:福井県産業労働部

 発電能力は国内の木質バイオマス発電所では最大級の37MWに達する。年間の発電量は7万世帯分を見込んでいて、敦賀市の総世帯数(2万8000世帯)の2.5倍に相当する規模の電力を供給することができる。

 2015年11月に着工して、2017年の夏に運転を開始する予定だ。発電規模が大きいだけに、燃料の木質バイオマスは国内のほかに海外からも調達する。

 発電した電力は丸紅が小売事業に利用する方針である。敦賀市を越えて福井県の西側の地域は関西電力の管内で、原子力発電所が数多く集まっている。バイオマスによる電力が原子力と競争する状況が生まれる。

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