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» 2015年09月10日 15時00分 UPDATE

スマートシティ:電力を融通するマンション、エネファームで実現 (1/2)

マンション全戸に設置したエネファームを制御し、消費電力が高い住戸に送り込むことが可能な「T-グリッドシステム」が実現する。系統から購入する電力量を60%低減可能だという。「シャリエ長泉グランマークス」(全190戸、静岡県長泉町)に設置する。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 マンション内で電力が不足した住戸へ、別の住戸から電力を融通するとり組みが始まる。カギは全戸に設置したエネファームの利用だ。

yh20150910TORAY_map_250px.png 図1 静岡県長泉町とマンションの位置

 東レ建設は2015年8月25日、「シャリエ長泉グランマークス」(静岡県長泉町中土狩)*1)へ、マンション内電力融通システム「T-グリッドシステム」を導入すると発表した(図1、図2)。

 T-グリッドシステムは、マンション内の電力需要に応じてエネファームの運転を集中制御するための仕組み。静岡ガスと東レ建設が協働で開発し、今回が初の導入事例となる。最大の効果は、系統から購入する電力の量を約60%低減できること。その結果、エネルギーコストと二酸化炭素(CO2)排出量を約30%削減できる*2)。都市ガスを含めた一次エネルギー削減率に換算すると約25%の削減だ。

*1) EAST棟(95戸)とWEST棟(95戸)からなり、敷地面積は7964.98m2。地上12階。2015年12月にEAST棟の販売を開始し、2017年3月にEAST棟の完成を予定する。
*2) エネルギーコストの削減率は後ほど説明する電力の融通価格の設定によって30%から前後に変化する見込み。

yh20150910TORAY_mansion_590px.jpg 図2 シャリエ長泉グランマークスの完成予想図 出典:東レ建設

エネファームをより効果的に使う

 エネファームは都市ガスなどを利用して、水道水から湯を作ると同時に電力を生み出す燃料電池システム。戸建住宅から普及が進んでおり、マンション向けにも導入が始まった段階だ。戸建住宅と比較して、マンション内にエネファームを導入することは難しい。例えば、個々の住居を購入する顧客があらかじめ決まっていないこと。湯や電力の使用パターンによっては、エネファームを導入してもメリットが少ない家庭もある。

 シャリエ長泉グランマークスでは、全戸190戸にエネファームを設置する。T-グリッドシステムを導入することで、エネファームの発電量以上の電力を使う住戸と、発電量以下の住戸が混在したとき、互いに電力を融通できる。全戸に設置しても無駄が生じることはない。

 T-グリッドシステムを導入するメリットを示したのが、図3だ。住宅ごとに電力の使用パターンが異なることを利用して、エネファームの能力を引き出している。図3は単純化された絵であり、実際には後ほど紹介するように、Bさん宅がAさん宅に直接電力を融通するのではなく、全戸がAさん宅に融通する形を採る。

yh20150910TORAY_system_570px.jpg 図3 T-グリッドシステムの利点 出典:東レ建設
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