洋上風力発電が近海に広がる、着床式で全国15カ所へ自然エネルギー(1/4 ページ)

風況に恵まれた北海道と東北の近海を中心に、大規模な洋上風力発電所の建設プロジェクトが続々と始まった。陸上よりも風が強く、風車の設置面積を広くとれるため、規模の大きい風力発電所を展開しやすい。水深の浅い場所に建設できる着床式の発電設備が全国各地の沖合に広がっていく。

» 2015年09月17日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 国土の狭い日本では洋上風力発電に対する期待が大きい。2014年度から固定価格買取制度の対象に加わったことで、大規模な開発プロジェクトが全国各地で動き出した。風力発電の調査・研究を推進するNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)によると、実証設備を含めて8カ所で洋上風力発電所が運転中で、さらに計画中のプロジェクトが9カ所で進んでいる。

 合計17カ所のうち、発電設備を海底に固定する「着床式」が15カ所を占めて、残りの2カ所が海中に浮かせる「浮体式」の実証設備である。洋上は陸上に比べて風が強く吹くために、より大きく発電できる点が魅力だ。現在のところ洋上風力発電を実施する海域は年平均風速が7メートル/秒を超える北海道と東北に多い(図1)。

図1 日本の洋上風力発電所(画像をクリックすると拡大)。御前崎港の計画は見送り。出典:NEDO

 運転中の洋上風力発電所では、茨城県の鹿島港で2013年に稼働した「ウィンド・パワーかみす第2洋上風力発電所」の規模が最も大きい。鹿島港の沿岸から50メートルほどの洋上に、8基の大型風車を着床式で設置した(図2)。1基あたり2MW(メガワット)で合計16MWの発電能力がある。

図2 「ウィンド・パワーかみす第2洋上風力発電所」の全景。後方に見えるのが「第1洋上風力発電所」。出典:小松崎グループ

 この発電所と並ぶように「第1洋上風力発電所」が2010年に運転を開始している。現在のところ10MW以上の洋上風力発電所は鹿島港の2カ所のほかに、山形県の酒田港で運転中だ。それ以外は1基か2基の構成で小規模に展開している(図3)。

図3 既設の洋上風力発電所(画像をクリックすると拡大して付随情報も表示)。出典:NEDO

 一方で計画中の洋上風力発電所は大規模なものが多い(図4)。新潟県の村上市のプロジェクトが最大で、合計44基の風車を建設して220MWの発電能力を想定している。茨城県の鹿島港の沖合でも25〜50基の風車で125〜250MWの洋上風力発電所を展開する計画がある。いずれも陸地から1〜2キロメートルほど離れた海域が対象だ。

図4 計画中の洋上風力発電所(画像をクリックすると拡大して付随情報も表示)。出典:NEDO
       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.