島で使う電力の100%を太陽光と風力で、2種類の蓄電池がCO2を減らす自然エネルギー(1/2 ページ)

日本海に浮かぶ島根県の隠岐諸島で日本初の実証事業が始まった。特性の違う2種類の蓄電池を変電所の構内に設置して、島内の発電設備を最適に制御する試みだ。電力の需要が小さい時期には太陽光と風力で島の電力を供給できるようになり、火力発電の稼働を抑えてCO2排出量を削減する。

» 2015年10月01日 11時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 隠岐諸島は島根県の本土から北へ50キロメートル離れた場所にある4つの島で構成する(図1)。本土からの送電線はなく、電力は地産地消することが前提だ。基幹の火力発電に加えて太陽光と風力による発電設備が増えてきたことから、離島で再生可能エネルギーの導入量を拡大するための国の実証事業の対象に選ばれた。

図1 隠岐諸島の位置と「西ノ島変電所」の所在地。出典:中国電力

 中国電力が4つの中で最も西にある「西ノ島」に変電所を新設して、その構内に2種類の蓄電池を組み合わせた最先端の「ハイブリッド蓄電池システム」を構築した(図2)。9月30日から実証運転に入り、今後3年間かけて効果を検証しながら技術的な課題を解決していく。変電所に2種類の蓄電池を設置して再生可能エネルギーの導入量を拡大する試みは国内で初めてである。

図2 「西ノ島変電所」の全景(上)、2種類の蓄電池(下)。出典:中国電力

 蓄電池の1種類は容量が大きいNAS(ナトリウム・硫黄)電池で、2万5200kWh(キロワット時)の電力を貯めることができる。一般家庭が1日に使う電力量(10kWh)に換算して2500世帯分に相当する。この蓄電池から隠岐諸島の全世帯(約1万世帯)が1日のうちに利用する電力の4分の1を供給することが可能だ。

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