今年の夏も九州地方の電力は問題なく供給することができた。原子力発電所が運転していない状況でもピーク時の需給率は90%以下に収まったが、太陽光発電の増加によって新たな課題が明らかになった。昼間の電力は十分に足りても、夜間の19時台に需給率が95%を超える日が発生した。
九州電力が4月の時点で予測した今夏の需給見通しは極めて厳しい内容だった。8月には需要が供給力を上回って「予備率」(需要に対する供給力の余裕)はマイナス2.3%に低下する予測だ。これでは確実に停電が起きてしまうため、中部電力と中国電力から融通を受けて、予備率の最低ラインである3%を何とか維持することにしていた(図1)。
そして今年も夏が終わってみると、九州の需給状況は7月も8月も安定していた。需要が最大になった8月6日(木)でも1500万kW(キロワット)にとどまり、九州電力が予測した1643万kWと比べて100万kW以上も少なかった(図2)。一方で供給力は太陽光と風力が予測よりも89万kW増えたことで、需要に対する予備率は13.5%にのぼった。他社からの融通がなくても十分に余裕がある状態だ。
東日本大震災が発生して原子力発電所の運転を停止して以降、九州電力は関西電力とともに毎年の夏と冬の予備率を3%で予測し続けた。実際に3%まで低下することは一度もなかったが、原子力発電所を再稼働させる理由として夏と冬の供給力が不足する可能性を訴えてきた。この理屈が通用しないことは明白になったものの、今年の夏は別の問題が浮き彫りになった。
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