木質バイオマス発電で10万世帯分の電力、洋上風力と石炭火力がある工業団地に自然エネルギー(1/2 ページ)

山形県の臨海工業団地で東北最大の木質バイオマス発電所の建設が決まった。発電能力は50MWに達して、年間に10万世帯分の電力を供給できる見込みだ。燃料は地域の間伐材を中心に、港に近い立地を生かして国内外から調達する。条件に恵まれた臨海工業団地で再生可能エネルギーが広がる。

» 2015年10月05日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 住友商事グループで電力事業を担うサミットエナジーが「酒田バイオマス発電所」の建設計画を発表した。山形県で唯一の重要港湾である酒田港に隣接する工業団地の一角に建設する(図1)。2016年6月に着工して2018年5月に運転を開始する予定だ。総事業費は250億円にのぼる。

図1 「酒田バイオマス発電所」の建設予定地。出典:住友商事、サミットエナジー

 発電能力は50MW(メガワット)で、木質バイオマス発電所では東北で最大の規模になる。1日に24時間の連続運転を想定している。年間に330日稼働させると、発電量は3億6000万kWh(キロワット時)程度を見込める。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して10万世帯分に相当する。地元の酒田市の総世帯数(4万2000世帯)の2倍以上をカバーできる。

 山形県は森林の面積が7割を超えて、スギやナラの人工林が県内各地に広がっている。間伐で発生する大量の未利用材をバイオマス発電の燃料に使って林業の活性化に役立てる。それでも足りない分は酒田港の海上輸送能力を生かして、国内外から木質チップなどを調達する方針だ。

 酒田臨海工業団地には東北電力グループの「酒田共同火力発電所」が運転中で、石炭火力に木質バイオマスを加えた混焼発電を実施している(図2)。団地内に高圧の変電所があり、発電所を建設するのに適した立地条件がそろっている。防波堤と工業団地のあいだには「酒田風力発電所」(2MW×8基)が2014年4月に運転を開始した。さらに木質バイオマス発電所が加わって再生可能エネルギーの供給力が拡大する。

図2 「酒田臨海工業団地」の全景。中央に見えるのが「酒田共同火力発電所」、海沿いに建つ風車は「酒田風力発電所」。出典:ジャパン・リニューアブル・エナジー
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