地熱発電で2つの規制緩和、国立・国定公園内で開発促進自然エネルギー(1/2 ページ)

地下に大量の地熱資源が存在する国立・国定公園を対象にした規制が緩和された。環境省は公園内の建築物に対する高さ規制を撤廃したほか、規制対象地域の周辺から地下にある地熱資源まで傾斜掘削を認める。規制緩和によって大規模な地熱発電の導入量が2倍に拡大する見通しだ。

» 2015年10月06日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 環境省は10月2日付けで「国立・国定公園内における地熱発電の取り扱いについて」の改正を全国の関係部署や自治体に通知した。これまで国立・国定公園内の地熱発電を厳しく制限してきたが、CO2(二酸化炭素)を排出しない再生可能エネルギーを拡大する目的で2つの規制を緩和する。

 1つ目の規制緩和は国立・国定公園内に新設する建築物の高さに関するものだ。発電設備を格納する建屋などは高さを13メートル以下に制限してきたが、この規制を撤廃する(図1)。ただし周辺の景観に支障を及ぼさないように配慮することが条件になる。

図1 国立・国定公園内における建築物の高さ規制(写真は規制以前に運転を開始した九州電力の「八丁原発電所」)。出典:資源エネルギー庁

 もう1つの規制緩和は地熱資源を開発するうえで必要な掘削の対象範囲を拡大する。国立・国定公園は環境保護の重要度をもとに「特別保護地区」「特別地域」「普通地域」に分けられていて、さらに特別地域には第1〜3種の3段階がある。従来は地熱資源を開発するための掘削は第2種・第3種特別地域と普通地域にしか認めていなかった。

 今後は第1種特別地域の地下にある地熱資源まで周辺から掘削できるようになる。地上の設備が第1種特別地域に含まれていなければ、そこから地下を斜めに掘削して地熱資源まで到達することが可能だ(図2)。ただし重要度が最も高い特別保護地区の地下資源まで掘削することは引き続き認めない。

図2 国立・国定公園内における傾斜掘削のイメージ。出典:資源エネルギー庁

 全国で32カ所ある国立公園の中で、特別保護地区は全体の13% 第1種特別地域は12%の面積を占めている。このうち第1種特別地域の地下資源が対象に加わることによって、地熱発電の開発地域は大きく広がる。

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