“電気とガス”を最適に使い分け省エネに、遠隔制御も可能なマルチ空調システム省エネ機器

東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、パナソニックの4社は、時間帯に応じてガスと電気を使い分けられる新たな業務用空調システム「スマートマルチ」の開発を進めている。さらに同システムの運転を最適に遠隔制御できるサービス「ENESINOFO(エネシンフォ)」を開発し、2016年4月から販売を開始する。

» 2015年10月20日 11時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 東京ガスはこのほど業務用空調システム「スマートマルチ」を、最適に遠隔運転制御するサービス「ENESINOFO(エネシンフォ)」を開発した。スマートマルチおよび同サービスの適した業種である店舗・商業施設や事務所ビルなどを対象に、2016年4月から販売開始する予定だ。

 スマートマルチはガスヒートポンプ(GHP)と電気モータヒートポンプ(EHP)を同一冷媒系統に組み合わせた新しいコンセプトの業務用空調システムで、東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、パナソニックの4社で共同開発を進めている。日本で初めてGHPとEHPを1つの冷媒配管に接続して同一冷媒系統に組み合わせ、“電気とガスのハイブリッド化”を実現したのが特徴だ(図1)。

図1 「スマートマルチ」と「ENESINOFO(エネシンフォ)」を組み合わせたシステムのイメージ 出典:東京ガス

 室外機はGHP20馬力とEHP10馬力を組み合わせたものを1セットとし、1つの遠隔アダプターに最大8セットまで接続できる。それぞれのコントローラーは汎用品を活用することでイニシャルコストを抑えている。GHPとEHPはコンプレッサーの構造が異なるが1つの冷媒系統に組み合わせるための連係制御技術の開発。さらに冷凍機油、通信仕様の共通化などを進め、遠隔から最適に運転制御することが可能な空調システムを実現した。

 エネシンフォは、スマートマルチから収集したエネルギー使用量や運転データなどの情報や、エネルギー需給状況、エネルギー価格(電気料金・ガス料金)などのデータをもとに、GHPとEHPが最適な運転比率で運転するよう遠隔で制御するシステムだ。

 例えば朝や夕方、夜間などにおいて電力需要が小さく電気料金が安価な領域ではEHPを中心に運転し、電力需要が大きくなる日中はGHPで運転するなど、状況に応じて運転比率を変えることで、利用者の使い方に合わせた、省エネ、省コストを実現する。同サービスを活用してスマートマルチを運転することで、同規模のEHPと比較して、ランニングコストを約20%低減することが可能だという(図2)。

図2 状況に応じたGHP・EHPの運転比率イメージ 出典:東京ガス

 この他に一日ごとにスマートマルチの運転状況、電力・ガスの消費量、同サービス利用による削減効果などを、専用Webサイト上から確認できるサービスも提供する。

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