みやま市が電力の地産地消を加速、蓄電池で30分単位の需給調整も電力供給サービス(1/2 ページ)

福岡県みやま市が電力会社に頼らないエネルギーの供給体制を強化する。市が中心になって設立した新電力が11月1日に市役所の庁舎へ電力の供給を開始した。地域の太陽光発電から電力の調達量を増やしながら、蓄電池を使って30分単位で需給バランスを調整する実証事業にも取り組む。

» 2015年11月09日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 人口4万人弱のみやま市が全国の自治体の先頭を切って電力システムの改革に挑んでいる。2015年3月に市が55%を出資して新電力の「みやまスマートエネルギー」を設立して、太陽光発電の電力買取サービスを7月に開始した。さらに11月1日から市役所の庁舎に電力を供給して再生可能エネルギーの地産地消を推進中だ(図1)。

図1 みやま市が推進する電力の地産地消の流れ。出典:みやまスマートエネルギー

 今後は各地域にある公共施設や民間企業に供給先を拡大しながら、小売全面自由化が始まる2016年4月には家庭にも電力を供給する。すでに2015年4月から市内の2000世帯にHEMS(家庭向けエネルギー管理システム)を設置して「みやまHEMSプロジェクト」を実施している(図2)。

図2 「みやまHEMSプロジェクト」の展開計画。出典:みやま市、エプコ

 このプロジェクトの中で「電気・ガス料金プラン診断サービス」を提供して小売全面自由化のメリットを市民に広めてきた。電力の需給状況が厳しくなるとクーポンを発行して外出を促す「電気クーポンサービス」も10月1日から開始している。合わせて電力会社から契約を変更した場合の「仮想料金プラン」をシミュレーションできる機能も追加した。

 電力の調達面でも先進的な取り組みを続けている。太陽光発電の電力買取サービスでは、通常の固定価格買取制度の単価に1円プラスして電力会社からの契約変更を促進する(図3)。ただし買取の対象を九州電力の管内で契約電力が50kW(キロワット)未満の低圧に限定している。小規模な発電設備から幅広く調達して、天候による出力の変動を抑える狙いがある。

図3 太陽光発電の電力買取サービス。出典:みやまスマートエネルギー
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